ワニがいた

私がいつものようにシュークリームを
片手に歩いていると、ガードレールに
ワニさんいた

シュールな光景に生唾を飲み込んだ
シュークリームは七分の二ほど食べ進めていたが、それどころじゃない

ワニさんがガードレールにしがみついている
この情景を目の当たりにしては
それどころじゃないのだ

そしてこの場を目撃していた人物が
もう一人

私の斜め後ろ
電柱の陰から覗き込んだ男こそ
のちのユーチューバー
けんじだった

けんじは昼間なのに
小学校にも行かずなにをしていたのか？

それはニートの私にもまた
言える事だった

「働け」

ナオトインティライミにそう
歌われた気がした

お前に言われたくない
ただ、お前は世界を旅してまわった
らしいな

すごい行動力あるよね
私には無理だ
とても無理

ーその時だった

けんじが棒でワニさんをつつき出した
しかも演奏まとめる棒で

「やっ！」

私は止めに入ったが、
時すでに遅し

けんじは一口で飲み込まれてしまった