上を向いて歩こう？

誰かが言った。

上を向いて歩こう。


前向きに歩いていこうというポジティブなメッセージ。

それに右に倣えで世間は成り立っている。




果たしてそうなんだろうか？



上を向いて前向きに歩いている人は、

その下にどんな世界が広がっているか知りもせずに、

前を向くことだけを強いる。



僕はいつも下を向いて歩いている。

常に振り返りながら。



その足元には、

綺麗な花や雑草、

石ころやアスファルト。

小さな虫も歩いている。



そんな彼らを踏みつけないように歩く。



上を向いていたらわからない小さな命。

それを踏みつけて殺したことすら気付かず、

何事も無かったかのように通り過ぎる。



今の世の中をあらわしているよう。



弱者に何をしたかも気付かずに、

自分は自分の力で上に来た。

踏みつけたものたちを振り返りもせず。



下を見ている人のほうが優しい。

自分が何処を歩いているかわかってるから。



今の時代、

上を向くことより前に進むより大事なのは、

少し止まって振り向いて、

今まで歩いた道を確かめて、

これから先の道を静かに踏みしめて歩く。



進歩がすべてじゃない。

競争がすべてじゃない。

どんなに遅くても、

自分の下にも気を配って、

優しい人間になりたいと、

ふと思った事件がありました。



切ない。