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狐ヶ崎、狐っ娘

2013年10月28日 22:17

ここ2日ほど、ちょいと風邪ひきだったのと、仕事があって静岡の実家に引きこもっていて、だるくなったので、先ほどお散歩に行ってきた。

今回は、普段の夕暮れ後のお散歩だったら越えない通りを越えて、ここに住んでいた時期にもあまり行かなかった地域へと入っていった。

そこは静岡鉄道の狐ヶ崎駅の近く。お稲荷さまファン、キツネ狂いの僕には名前だけで何だかほっこりとした気分になれる場所。

面白いことに、僕は高校生の頃、狐ヶ崎駅付近で毎朝、狐っ娘に会うのが楽しみだった。まあ、そこそこの工業都市の住宅地だから、本物の狐さんではない。

ショートカットの髪、スレンダーな体型で、ちょっとつり上がった狐眼が綺麗な中学時代の後輩だ。スケバン刑事時代の当時では珍しくセーラー服スカートをミニっぽくしてるのが可愛かった。

彼女は僕とすれ違う時に、僕の方をちらと見た。ただそれだけ。でも、必ず見た。彼女は、色黒の愛嬌のある狸っ娘と、もうひとり今ではどんなタイプか覚えていない女の子と一緒に登校していて、二人の子は僕を見ると大声で僕の名前を呼んで「おはよー」と叫んでくれた。それから、狐っ娘をサンドイッチの具のように挟み込んで、彼女を冷やかし始めるというのが常だった。

彼女は、猛烈に冷やかされる中で、無言で恥ずかしそうにしていた。

と、いうことは、その狐っ娘、僕のことが気になってたんだよね…(初めは僕に気があるのは狸っ娘だと思ってた。)

不良扱いされてる子だということは知ってたけど、僕も彼女に興味があった。あの時代、妄想の中に彼女をよく呼び出してた。まあ、ぶっちゃけて言えば、好きだった。

でも、僕はその当時、こんなクールな不良美少女が、ドン臭い進学校の男なんかに興味持たないだろうな、などと決め付けていた。

気がある同士が2年間にわたって、毎日、すれ違ってたってことのようだ。もし、どちらかが勇気を出して一歩、前に出ていたらどうなってたんだろうか?

うまくいっただろうか?

そんな記憶がぽろぽろと出てきたところで、狐ヶ崎駅前に出た。

そんな、前世紀に出会った狐っ娘とのちょいと甘い記憶に浸りたくて、帰りは狐ヶ崎から草薙まで電車に乗った…

まあ、実らぬ恋ではあったけど、こんな記憶があると、自分の人生も捨てたもんじゃないな、と思えるから、まあ、いいと思う。

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