- 名前
- 埋葬虫
- 性別
- ♂
- 年齢
- 54歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- ひさしぶりに書き直してみたぞ。うっひゃっひゃ
JavaScriptを有効にすると、デジカフェをより快適にご利用できます。
ブラウザの設定でJavaScriptを有効にしてからご利用ください。
実世界への移住
2010年12月11日 03:44
たぶん光ケーブルの工事だとおもうんだけど、ぼくの窓辺でヘルメットのおじさまが、両手のひらに顎をのっけてぼくの食事を見てるの。
ぼくなんかフルトヴェングラーのアナログレコードっていう豪奢の中でやわらかいもも肉の咀嚼中だったわけで、おじさまの無粋な油顔なんかどうでもいいわけ。
で、パリッパリのバタールとヴォルドーで一時の憩いを完遂してるぼくに対して、その窓辺のおじさま、事もあろうにノックしてくんの。
は?そんなの想定してないから、そおのう、おととい来やがれみたいな社会性のないことはせずに、もちろんニッコリする。ぼくの長いまつげが視界をじゃっかん剪断して、ちょっと眠気を感じたりしはじめた、そのぼくの横で、トーマスがふふん、っていった。
やだなあ。変なことして目下の相手をおこらせたりしないでよね。
だからぼくの掌から、直接なにかをわたすような方向でね。で、雪がふりはじめた外にちょっとびっくりして、凝視してるおじさまに目くばせ。
テーブルの上の、ちょっと憂いのただようグラスやボトルを指さしてみたり。口あけて大袈裟にわらってみたり。
トーマスが椅子をとびおり、窓におどりかかった。やめてよトーマス。
おじさまがフっと風にかききえ、ぼくはあれくるうトーマスにキャベツの輪切りをなげてあげるの。
ものすごく冷酷なトーマスの目がぼくの鼻腔ふきんを射ぬき、ぼくはしかたなく椅子をはなれて、絨毯をゆっくりと横ぎり、おじさまがぼくを凝視してた89階の窓を、あけはなってみたの。
トーマスだった膜が、うずまく夕刻の雲にのぼってゆくのを、ぼくは血のようなソースで顔を真っ赤によごして見やる。
歯。軋。り。
このデジログへのコメント
コメントを書く