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美術館

2009年09月04日 00:29

美術館

林の中の曲がりくねった道を抜けると、視界が急に開け、その建物は目の前に建っていた。
周りの緑・黄・紅を引き裂くように、無機質な金属と、ガラスを纏った、コンクリート肉体が建つ。


単純な直方体の組み合わせに、表層にガラスと、金属、そしてコンクリートが張り付く。


シャープなやさしさを感じる。


玄関を抜けると、吹き抜けの大きな空間に、直線的な階段が刺さる。


窓を柔らかな陽射が通り抜け、無機質な空間を包み込む。


そこを通り抜けると、陽の差さない、人工的な表情のない空間がうねるようにつづき、


主人公のキュービズムの絵たちが、活き活きと、話しかけてくる。


いつの間にか、暖かい陽射に迎えられ、物語は最終章に入る。


2階のカフェの冷たい金属の椅子に座り、カーテンウォールのガラスから、


緑と赤や黄色に色づき始めた木々が飛び込んでくる。


作為的な空間を、やさしい自然が包み込んでくれる。


琥珀色の液体を、口に運びながら、しばし佇む。


帰りたくない。


いつの間にか木々の影が伸び、


空がオレンジ色に染まる。

このデジログへのコメント

  • クレアR 2009年09月12日 00:10

    (*^^*)ロマンチックですね♪秋らしくなって参りましたね。

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