欠乏

言葉の羅列。其れがなければ何者でも在れないだなんて、そんな弱者の戯れを繰り返すままで一体僕は何を成そうというのだろう。こんなちっぽけな魂ではこの形質すらも守ることなど出来ないだろうに。僕は僕なのに。あの人が捨てた、捨てざるを得なかった、あの人の遺伝子をひいた、こども。

僕は、いつから僕の秩序を忘れたのだ。僕は、いつから僕を忘れる勇気などを持ったのだ。大衆的ともとも耽美ともいえぬ虚想に満ちた羅列に身を包ませて、何が自己の尊厳と言えるだろう。なんておぞましい。高揚のない其れには打ってつけの珍味だとは想うが、僕のいう其れと僕とでは未だ重ならぬ。僕にはまだやるべきことがある。あるというのに。劣化などとは言えぬ。これはただの、ただの怠惰なのだ。僕は僕なのに。これは本当に、紛れもない羞恥の一つであろう。こんな仕打ちはあんまりだろうに。