ビデオ通話で。

金曜日の夜。
やっと一週間おわった。
明日は休み。夜更かしできる。

帰宅して、シャワーを浴びて、チューハイを1杯。
お酒は得意じゃない。この缶1本で、もう頭が少しふわふわしてるし、身体は熱い。

22時。約束の時間。

ケータイにメッセージが届く。
きた。

『こんばんは。一週間お疲れ様。』

いつも通り。普通の挨拶。

「こんばんは。お互いお仕事お疲れ様です。」

少し震える手で返信する。

この人は、岬さん。
ネットで知り合った人の1人。
年齢は、たしか30台半ば。
直接会ったことは、一度もない。

『じゃあ、早速始めようか。今はどんな格好してる？』

「Tシャツにショートパンツです。」

もう私は素直に答えることしかできない。

『そう。じゃあ、下着は…。いや、直接見ようかな。』

そうメッセージが来る。
これは、ビデオ通話の合図だ。
くる…。くる。
私は、スマホスタンドにスマホを立てかける。
インカメラが自分を写すように。

しかし、待っても待ってもビデオ通話が始まらない。

…もしかして…試されてる…？

岬さんは私から繋いでくるのを待ってるんだ…。
今まで自分で繋いだことは、一度もない。
だって、それじゃ、まるで私が自分を見てほしいと思ってるみたいじゃないか…。

…恥ずかしい。

でも。もう、我慢できない…。

頭がふわふわする。身体が熱い。
…お酒のせいかな？

私は、ビデオ通話開始のボタンを押した。