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酒の好きな甲斐守

2016年05月08日 07:55

酒の好きな甲斐守

鎌倉時代のこと、常陸大宮市北塩子に横山甲斐守蔵人という武士が、立派な館を構えて住んでいました。甲斐守は武道にすぐれ、村人たちの信望も厚く、「お館様」と慕われておりました。しかし、酒好きのため、失敗することもあったのです。 「おらが村のお館様、情深くて武術もすぐれたお人で申し分ねえ。だが大酒飲むのが玉にきずだなあ。」 あるとき、村の中の太兵衛という家でむこ取りの婚礼がありました。甲斐守も招待され、村の人たちのすすめによって大いに酒を飲み、大いに歌って帰りも遅くなりました。人びとは心配して泊まっていくようにすすめましたが、酒の威勢がついている甲斐守は、聞き入れません。 「間違いでも起こさねばいいが。」 みんな心配していました。 甲斐守はわが家と思われる方角に向かって、田であろうが畑であろうが、おかまいなしにどんどん歩きはじめました。そこへ同じ北塩子にすむ大越伊予守が通りかかったのです。伊予守は、先を急いで帰る途中、田の中で何やらごそごそと音がするのを聞きました。 「はて、この夜ふけにおかしなことだ。」 怪しいと思い、もし狐か狸などなら、一刀のもとに切り伏せようと闇をうかがっておりました。そして大声で聞きました。 「そこにいるのは誰だ。」 田の中でごそごそやっていた甲斐守は、「甲斐じゃ、甲斐じゃ。」と、繰り返して言いました。伊予守は、「さては横山甲斐守が、また酒に酔って歩いているな。よしひとつからかってやろう。」こう思って、歌をもって呼びかけたのです。
貝(甲斐)なれば川や浜辺にすむものを田にすむ貝は、田螺なるらん ややしばらくして甲斐守から歌が返ってきました。 ながらくに 神に仕えし甲斐(貝)ありて 田の神様としばし遊べる 甲斐守は神官でもあったのです。 こうして二人は歌をうたい合い、笑いながら別れたということです。

このウラログへのコメント

  • takeshi2012 2016年05月08日 08:11

    優雅な人たちが多かったんやね

  • Toshi64 2016年05月08日 10:49

    面白いお話ですね。
    話の途中まで、伊予守と甲斐守の斬り合いが始まるのかと思ってしまいましたが、予想は外れました。

  • ふくさと 2016年05月08日 13:01

    良い話!(^-^)

    和歌を詠むなんで風情と知性が感じられる良い物語!!

  • ひのじ 2016年05月08日 15:13

    間違いで斬ってしまうのかと思わせ

  • ナトリ 2016年05月09日 10:29

    強い武士が歌を詠み合うとは・・強さと優雅さを備えた素敵な者たちですね。

  • たか 2016年05月11日 00:40

    文武両道!

    それに…
    お互いに洒落てますね~

  • なっぴ★ 2016年05月11日 06:33

    今ではそんな人なかなか居ないね

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