おめこ券は

年金問題、少子化問題を解決する決定打になるはずだった。
2010Ｗ杯南アフリカ大会出場をかけたアジア予選で日本が負けたことで国内のサッカーファンが落胆していた頃。それに隠れるかのように、こっそりと国会を通った「日本人増殖法」。
その法律にしたがって、２００９年１０月。
政府は、全国の１８歳以上の成人男性を対象に
その券を配布を開始した。
しかし、国民は混乱した。その券について何も知らされていなかったからだ。


今、僕の手元にあるその券は、経年変化で、ずいぶんと黄色くなっている。
将来価値が出るからと、祖父が残したものだ。
小冊子になっており、表紙に５枚つづりと書かれている。開くと３枚の券が残っていて、
２枚は切り取られた形跡がある。
各チケットには「おめこ１回」と大きく中央に書かれており。下に赤字で「※ご利用は計画的に」と付記されている。

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つづく