あこがれ49　順番

「私より先なんて、頭に来る。　美咲、５つも年上なのよ。　順番を守りなさい」
お母さんとお兄さんはクスクス笑っていますが、お父さんだけは神妙な顔
お父さんに向かって
「申し訳ありません」　と言うと
「いや、ほんの少し早いだけです」
「遅かれ早かれ、娘は出て行きます。美久、お前はもう少し先にしてくれ」
「お父さん、結婚すると言っても５年も先で、大学を出た春」
「大学を出てから？」

「そうだな。　美久、直ぐでもいいぞ」
「直ぐは無理よ、私達」
「でも、翔くんは直ぐにでもと思っているのじゃないの？」　とお母さん。
「彼は直ぐでも、私が直ぐは嫌なの」
「美咲にはずっと居て欲しいのに、私には早く出て行け？」
「さっきお前が言った事覚えているか？　順番を守りなさい」
「はい、覚えています」
「言った後、しまったと思ったわよ」

お兄さんに話を向けると
「この子、可愛い子と付き合っているのよ。　うちの大学の子」　とお母さん
「うるさいなー。　今日は僕の話じゃないでしょう」
「そんな事ないわよ。　長谷さんに分かって貰わないと」
「彼方の先生で、しかも先輩」
「はい、分かっています」
かなり面白い家族です
お父さんも、さほど分からず屋でも無さそうです
しかし、腹が立ち殴りたい心境でしょう

これは、翌日に美咲から聞く話
お母さんから言い込められたと
「貴方が私のバージン奪った時、私幾つだったっけ？」
「そう、今の美咲の一つ下の高校一年じゃなかったかしら」
「もうそんな昔のこと、忘れた、貴方？」
何にも言えませんね、男は

姉が聞いた話は１０分後に母に伝わります
その夜遅く父が帰るなり、母が父に話します

こんな裏話があるとはつゆ知らず、お父さんだけには申し訳無さで一杯でした
部屋に帰ったのが１２時少し前


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