【お題日記】借りたまま…返してない物

中学3年の時に美容室で借りた傘。

友達のお母さんがやっている美容室で髪を切ってもらって

いざ帰ろうとしたら雨が降っていたので

店員のお姉さんがお店の置き傘を持たせてくれた。

「◯◯ちゃんはよく遊びに来てくれるから大丈夫だよね！」

と満開の笑顔で言われたのを覚えている。

ピンク色と紫の間のような花柄の傘だった。



その友達とは

「うちらズッ友（＝ずっと友達）だょ！」

とプリクラに書き込むような間柄で

実際その美容室兼自宅にはよく遊びに行っていた。

もうすぐ中学を卒業して離れ離れになるという

甘酸っぱいというか甘じょっぱいというか

もういかにもとびだせ青春！な毎日の中での出来事だった。

卒業式に、揃って真っ赤な目をして笑っている写真が実家に残っている（と思う）。



そのズッ友とは中学卒業後もしばらく仲が良かった。

彼女が親に内緒で彼氏に会いに行くために一旦私の家を経由するという

偽アリバイ作りの片棒を担いだこともあった。

彼女が彼氏とデートするために急遽バイトを休みたいので

代わりにシフト入ってもらえないかと頼まれ

1月1日、某有名神社の近くにある飲み屋で朝から晩まで

13時間立ちっぱなし働きっぱなしという地獄を見たこともあった。

（ちなみにこれが人生初めてのバイト）

また別のお店で彼女がバイトを始めてしばらく経った頃

一緒にバイトしようよ！と誘ってくれたので一緒に働き始めたら

その1ヶ月後に彼女が黙ってバイトを辞めていったこともあった。

その時はなんとも思っていなかったけど

後々になって、彼女は一緒に働く仲間じゃなくて

自分の後釜を探していたんだと気がついた。

そういえば、あの時も、あの時も

よく考えたら彼女はうまく私を利用していたんだな…と気がついてしまい

彼女とは疎遠になった。

当然家に遊びに行くこともなくなり、借りた傘は返さずじまい。

「傘と本とお金は、貸したら返ってこないと思え」

って聞いたことがあるけど、あれ本当だなって思った。

いや、私は借りた側だけれども。



利用されたと書いたけど、彼女が誘ってくれなければ

厳しい私の親はバイトなんて許してくれなかったと思うし

人生で初めてお給料をもらった時はとても嬉しかった。

そのお金で初めてメイク用品を買ったことを覚えている。

良い人生経験だったよなと思う。



傘は返してないけど。