ナメてんじゃねーぞコラぁ！！！

珍しく風が吹かない、土曜の朝


携帯が鳴りました


電話の相手は、先日おじいちゃんのところの集まりで仲良くなった奥様（レストランを私にくれようとした、超お金持ちのご家族）

仮の名をフォックス婦人とします


フォックス婦人「おはよう、イチゴ。突然なんだけど、今日は何か予定はあるの？」
※会話は全て英語です

私「何もないよ。のんびり過ごす予定」


フォックス婦人「だったら、お願いをしたいことがあるの。孫のマイケルが、チャリティーの劇に行く予定なの。でも私も夫も既に予定が入っていたことを忘れていたの、バカなことよね。
マイケルにひとりで行けるか聞いたら、行きたくないって言うのよ。
でもね、一番楽しみにしていたのはマイケル自身なの。やっとみんなのお手伝いをする気になったのよ。
イチゴさえ良かったら、一緒に行ってあげてもらえるかしら？マイケルもイチゴとなら行くって言うの。
お願いよ、もちろんお礼はするわ！美味しい寿司バーはイチゴも好きでしょ？最近見つけたの！」


私「暇だから行くよ～。でも、そのチャリティーってドレスコードとか、ある？」


フォックス婦人「ないわ、みんな気楽に着飾って終わり。でも、スカートは履かない方がいいわ。
チャリティーだからけっこう荷物を運んだりするの。動くのに不便でしょ」


私「わかった。ジーンズはOK？」


フォックス婦人「やめたほうがいいわ。いっぱい働かされるから。」


私「わかった、何時にどこへ行けばいいの？」


フォックス婦人「イチゴはどこにいるの？オックスフォード？それともバーミンガム？」

私「おじいちゃんのおうちに泊まったから、ロンドンにいるよ」


フォックス婦人「それは良かったわ！うちから迎えを送るから、サー（おじいちゃんのこと）の
おうちにいてちょうだい。そうね、9時には間違いなく着かせるわ」


そう伝えられ、着替えて待っていると

マイケルを乗せて、車が到着


マイケル「おはよう、ミセスイチゴ」

私「おはよう、マイケル。今日はどんなチャリティーの催しなの？」

マイケル「人形劇を、小さい子が披露するんだ。僕はそのお手伝いだよ。人形を片付けたり、舞台を準備する役」

私「で、私は何をするの？」

マイケル「僕と一緒にいてくれたら、大丈夫だよ。まだ、他の人が苦手なんだ」

少しずつ外交的になってきてるのは、良いことだ


迎えの車で、そのまま会場となる公園へ



会場はけっこうな人が行き交い、あちこちに停まる高級車


私たちもマイケルのおうちのドライバーに車を任せ

2人で会場内へ


チャリティーの運営は、マイケルの学校の先生たちなどの有志で構成され

学校に普段行かないマイケルも、徐々にこういった集まりには参加出来てきたようで

フォックス夫妻にとっては、孫が成長していると大喜び


そんなお手伝いを出来たわけですから、私も文句などなく


まだまだオドオドしながらだけど、懸命に他人と意志疎通しようと頑張るマイケル


それを、ちょっと離れてみてるだけの私



3度上映した人形劇は、募金やバザーが同時に行われ


売上金はマイケルのような、身体に不自由があったりあるいは病気で学校に通えない子たちのために

使われるそうで、チャリティー大好きなロンドン市民で大盛況
（しかも、会場がハイクラスな場所なので、客層もハイクラスばかりです）



劇の手伝いも終わり、荷物も運び、会場を後にする前に

マイケル「ミセスイチゴ、おばあちゃんとおじいちゃんに何か贈りたいんだ」

私「ん？バザーで何か買うの？」


マイケル「ううん、着る物を贈りたいんだ。でも、僕は服を買ったことがないんだ。
一緒に選んでくれる？」


私「いいよ、お店は決まってるの？」


マイケル「お店も僕は、よく知らないんだ。」

私「じゃあ、2つ北のストリートにお店があるの。事務所のお友達に教えてもらった、いいお店よ。
そこに行ってみる？」

何もわからないというマイケルを連れ、お高めなお店へ


ウンウンと1時間ほどあれこれ探し、悩んだ後

マイケルはおじいちゃんとおばあちゃんに、ペアのセーターと靴下を購入


マイケル「ミセスイチゴ、ありがとう」


私「どういたしまして」


と、お店を後にし

再びドライバーが待つ公園まで戻っていると



「おい！おい！！そこの片腕！」（片手が少々不自由なマイケルを揶揄した言い方）


そう言いながら、タバコを咥えたイギリス人が目の前に立ちはだかりました


私「どいてよ！帰るんだから」


マイケル「・・・」


暴漢「おい！お前みたいな奴がチャリティーなんかして何になるんだ！？」


私「個人の自由でしょ！どきなさいよ！！」


暴漢「うるせえな移民！！」

そう言うと、私の顔にパンチ


ものっすごい一発を顔に食らったのですが


たまたますぐ後ろに木が立ってたので、木に打ち付けられる形で転ばなかった私


と同時に、私の中で忍耐という文字がきれいさっぱり切れ


私「何人の顔殴ってんだコラぁ～～～」
※ここからしばらく私のみ日本語バリバリです


そう言いながら、とっさに蹴りだした右足



が、動きもしない暴漢の股間にメガヒット


暴漢「ヌヘッ」（というように聞こえました）


頭に血が上ってる私は、横にあった落ち葉集めのバケツのフタを手に取り


私「何が紳士の国だコラぁぁぁぁぁ人の顔殴っといてあぁぁぁぁぁ
意地だけだったらテメエなんぞに負けねえんだぞコラぁぁぁぁぁ」
（くどいですが、日本語）


と叫びながら、フタで頭から背中からメッタ打ち


なのですが


股間がよっぽど痛かったのか

うずくまって防御に徹する暴漢


そして、うずくまりながらの「悪かった！！悪かった、ごめん！！」という叫び声
（暴漢は英語です、ゴッチャにならないよう）


私「謝れば済むってもんじゃねぇぞテメェ
やって良いことと悪いことがあんだろがぁぁぁぁぁ」


と、フタで殴ることを止めない私


と、横から数人が私を力づくで止め

「大丈夫かい？病院へ案内しようか？」

と、荒ぶる私を落ち着かそうとしてきました


止められた途端に、左目のあたりが痛くなってきた私


とりあえず駐車場に戻り、マイケルのおうちのドライバーに事情を説明し


殴り倒した暴漢のことなどすっかり忘れ、横で泣きじゃくり私から離れないマイケルを連れ

すぐ近くの病院へ


で、予約もなく登録病院でもないので


当然、待たされる


横でマイケルは泣き止まないわ、周りの患者はすっげえ見てくるわで


およそ30分



院内放送で「○○イチゴ、グランドフロアで人が待っています」の案内


マイケルを連れ、1階まで降りると

警官が3人


警官「男に殴られたのは君か？」

私「そうよ、ここを殴られたわ」

警官「それは君の怪我を見ればわかる。武器は所持してるのか？」

私「武器？どんな？」

警官「男を殴り倒したという目撃者がいた。武器がなければ、とても君に倒せそうな相手には見えないな」

私「外にあったバケツのフタで殴ったわ」

警官「武器じゃないのか、わかった」

私「あのね、私今治療を待ってるところなんだけど？」

警官「どうせ君がしばらく処置室に呼ばれないことは予想できる」

私「そう、ところであなたは○○部長の部下？」

警官「いいや、彼は1つ上のフロアだ」

私「じゃあ、××さんのフロア？」

警官「君、××の知り合いか？」

私「お食事を一緒に行く仲よ、確認して」



あのですね

こっちの警官って、回りくどい上にダラダラ長ったらしく話すんですよ


面倒なので、ヤード（警察署）に仕事上よ～く出入りしてるのを利用して

知り合いの名前を出したわけです



これがマズかった


流れを説明すると


警官が××（警官の上司、けっこう上層部）に連絡→
××から私の事務所のボスに連絡（仕事上よく交流してる）→
ボスからバーミンガムのおじいちゃん（おうちの隣に住む、地元の名士の人）に連絡→
ボスとおじいちゃん、病院に軍人を引き連れ参上



これとは別に


マイケルのおばあちゃんであるフォックス婦人に連絡→
フォックス婦人、旦那さんであるフォックスさんに連絡→
孫を心配し、かつ同行してた私が怪我したので急いで病院に駆けつけ



プラス


フォックスさん、私が怪我したとおじいちゃん（ロンドンでお世話になってる、サー）に連絡→
おじいちゃん、警察のお偉方を引き連れ病院に到着



で、ほぼ3者同時期に病院に到着


なのに、私はまだ治療で呼ばれず待ちぼうけ


目の周り、どんどんどす黒く変色




なわけです



ちょっと集中治療するようなので、また後で

落ち着いたら続きを書きます