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年取ると涙腺が緩む

2018年11月07日 09:46

「このぽっけすごいねんで!!(`・ω・´)三3ムフー!!」

そう言って幼稚園制服のポケットをパンパン叩いてた友達Aの息子
ポケットにはハンカチティッシュお菓子、小指の先サイズのドラえもん母親とのプリクラ、それにムシキングカードなどなど…


その子にとっての宝物が詰まってた
「ぽっけ叩いたら欲しいもん何でも出てくんねん(`・ω・´)三3フンフン!!」


ソレ聞いて少しイジワル言ってみた
「じゃあミニカー出してみて」
前から欲しがっていて 持っていない事は知っていた


その子はムキになって
「あるもん!!フン!フン!」とポケットをパンパン叩いて宝物を散らかしていった
私はその子の隙を見てあらかじめ買っておいたミニカーを そっとポケットに忍ばせた

「フン!…あっ!! …フフ~ン♪」
得意気に出てきたミニカーを私に見せびらかしてたが、物陰で
(´・ω・`)??
みたいな顔してた
かなり萌え





ある日Aが死んだ


脳溢血だった職場で突然倒れそのまま逝ってしまった
友達はいわゆるシングルマザーで家族は60を過ぎた御両親だけ
私達も悲しみにくれる間も殆ど無く、葬儀の準備の手伝い、関係者への連絡などで忙殺されていた


その間、彼はずっとジュウレンジャー絵本を何度も何度も読んでいた
通夜が始まりしばらく経った頃、彼が居ない事に気付いた


私と手の空いた者が付近を探した

しばらく探していると友達Bから着信
小さな公園で見つけたとの事

急いで駆けつけるとBは公園の入口で、どういうワケかうずくまって泣いていた
フッ…と公園の中を見ると彼が居た

暗い街灯の下、
「…お母さん、お母さん…お母さん…」
と泣きながら必死にポケットを叩いてた
周りには宝物が散らばっていた

恥ずかしながら20代女、その子慰める前に しばらくの間 泣き崩れてしまいました
声を殺して抱きしめる事しか出来なかった
いつの間にか集まってたみんなも泣いていた
あの日は全てが悲しくて仕方がなかった



あれから二年


もうポケットは叩く事は無くなった
代わりに
「ぐらふぃっくあーてぃすとになんねん(`・ω・´)三3ムフー!!」
が口癖になった


最近、ずっと絵を描いてるのはソレだったのか
どうやらBが 「お母さんの夢やったんよ」 と教えたらしい
その話を聞いた瞬間、また泣いてしまった

子供の言葉で、何だかこっちの方が救われた気がしたんです
少し画家と混同しているみたいだけど、頑張れ

君には5人のお母さんがついてるぞ
その日までちゃんとAの分まで全力で見守ってるからね

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