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ひょんなことから

2018年09月11日 07:45

ひょんなことから

え~



結論から言いますと、人を1人雇いました。



いえ、私が支払うわけではなくですね


おじいちゃんが、私経由で股雇いという状態でして


私は一応、おじいちゃんのところの「私設執事」なんですけど

そのサポートを行う人というポジションで雇いなさい、ということになりまして。



話せば長くなるんですけど


まあ、聞いてやってください。



昨晩、23時過ぎに玄関をノックする人がいまして


覗いてみると、髪がボサボサの女性が立ってたんですよ。



外国だし、女性とはいえ我が家には子どもがいるわけですので


火箸(暖炉で使うやつ)を握り締めて、玄関を開けたら



「お湯をもらえませんか?」って言うんですよ。



どれくらい?って聞いたら「カップ1杯」ですって。



カップに熱いお湯を注いで渡したら、フーフーしながら飲むわけですよ。


話を聞いたら、ホームレスなんですって。



いえね、オックスフォードのおうちの周りって


けっこうホームレスが多いんですよ。


教会でも炊き出しみたいなの、しょっちゅうやってますし。



玄関でバタバタやってるもんだから、娘も起きて来ちゃうわけですよ。


夜中ですし、手に火箸を持ったまま

とりあえず家の中へ入れてあげまして。



色々聞いてみると、ホームレスになって3.4ヶ月だそうで


アパートを追い出されちゃったんですって。


仕事先で上司に関係を迫られて、断ったら仕事自体クビになって
(こういう会社はけっこう、イギリスでも多いです)


お給料がもらえなくなって、再就職先を探してたら


就職先が見つかるよりも前に、アパート大家から身体の関係を迫られて

こちらも断ったら、就職先を探してる間に家財道具を庭先に投げられて追い出された、と。




う~ん・・・


こういったトラブル事務所にも増えてるんですよ。


大抵、弁護士の名前で訴訟まで持っていくと

大人しく応じるんですけどね。

訴訟のお金がないと、動かないのはどこの国でも同じですからね。

アメリカは成果報酬型が多いですけど、イギリスは半金着手・終了時残金支払いが普通なので

お金がない=訴訟も出来ない、が当たり前なんですよ。



私もまだ幼い娘がいて、知らない人を家に入れるのも

ものすごく不安ですけど、まあしょうがない


とりあえず名前を聞いて、シャワーを浴びさせて

残り物のシチューとおかずを食べさせて

そのまま就寝させることに。

危ないと思いましたけど、さすがに着の身着のままの女性

ストリートに戻せなくて。


かと言って、お金泥棒に遭うのも、命を奪われるのも勘弁ですから


とりあえずマットと布団だけ運んで、家の中にある倉庫に寝てもらうことに。



娘と私は、お部屋の鍵をかけて

さらに入口に、ベッドを横付け(侵入防止です)



まあ、正直寝た気がしない状態で起床しました。


朝は私が準備してからとりあえず起こして

朝食の準備をしながら、話を聞くことに。



「仕事はするつもりなの?」  「もちろん。でも、押しが弱いから決まらないの。」


「何でもやる覚悟はあるの?」  「ええ、でも身体だけは売りたくないわ。」


「私が知り合いに聞いてみる?」  「本当?どんな仕事なの?」


執事お仕事よ。」   「私が?学校出てないのよ?※執事教育の学校を卒業してないの意味」


と、とりあえず娘も交えて朝食をとり、大学へ娘を送り届けたのち

ボスに電話して、少々遅れることを伝えて、そのままおじいちゃんのおうちへ向かいました。



おじいちゃんに女性を会わせ、

私「この人を何かしらのお仕事で雇えない?ホームレスなの」と紹介すると
※会話は全て英語と思ってください。

おじいちゃん「イチゴ彼女教育すると約束できるなら、受け入れよう。出来るかな?全て君が手続きするんだよ。」



・・・え?



おじいちゃん「君が雇って、教育して、お給料を管理して、責任を負うんだ。身元を引き受けるんだよ。」



私、外国人ですぜ?そして、人を雇うお金も余裕もないですぜ?


おじいちゃん「お給料は私が支払おう。ただし、彼女にではなくイチゴに支払う。
君が彼女賃金を払うんだ。賃金も全部決めてごらん。出来るかな?」


??


おじいちゃん「いくらイチゴが連れて来たと言っても、私はいきなり人を信用しないよ。
イチゴとアン(娘の仮の名前と思ってください)は、それまでの背景と人柄を何ヶ月も私が見続けたから
信用するに値すると判断したんだよ。
今度は君が、人に何かしてあげたいのなら、それら全てに君が関わらないといけない。」


・・・



私「働く気、ある?」

と再度尋ねると

女性「もちろん!精一杯働くわ!!何でもするわ!」


・・・じゃ、じゃあ・・・



私もいっちょ、頑張ってみっか!!



私「お掃除とか、お買い物とか、何でもするんだよ?」


女性「何だってするわ!」



・・・まあ、本人はやる気みたいだし、いいか。


で、とりあえずボス事務所お仕事があるので

おじいちゃんのおうちに置いていくわけもいかず、

やむを得ず一緒に事務所に連れて行くことに。



で、カマロに乗せるや否や


女性「ねえ!あの人ってサー・○○(○○卿って響きのほうが、日本語はしっくりくるかもしれません)よね?」


私「そうだよ。」


女性「あなた、あの人の執事なの!?エリート中のエリートじゃない!」


私「あなた、おじいちゃんのこと知ってるの?」


女性「知ってるも何も、この国の大物よ!!知らないほうがおかしいわ!!」


私には、人のいいおじいちゃんなだけなのですが


とりあえずおじいちゃんが貴族の凄い人なのは知ってましたけど、そこまで凄いとは思いもせず。



事務所に移動して、ボスにいきさつを説明すると


ボス「それはいい経験になるよ。じゃあ、全部自分で手続きしてごらん。
困ったら、私か○○(副ボスの名前)を出せばいい。関係庁から調べて、雇用するんだよ。」




・・・また、ハードル高けぇなぁ・・・




人を雇うに当たって、必要なのが「雇用契約書」


これに、みんなしたがって労働します。

逆を言えば、雇用契約に無いことは「やらなくていい」のが、こちらでは普通なので


私みたいにお茶汲みを進んでしたりすることは、超珍しいわけですよ。


で、それらを決めるのに簡易面接。


私「何時から働きたい?」


女性(仮にリリーとします)「何時でも文句は言わないわ。お仕事が出来るんだもの。」


私「労働時間は8時間でいい?」


リリー「文句は言わないわ。」


私「執事のお手伝いだから、時間なんて決まってないようなものだよ?」


リリーボス(私の事)に助けてもらったんですもの、何時から何時までだって働きます!」



ボス・・・



とうとう、ボスと呼ばれるように・・・



私「お給料はいくら欲しい?」


リリー「食事ができるなら、文句はないわ」



私「・・・(悩みに悩んだ末)2200ポンド、時間の縛りは無し、私の仕事の補助一切をすること、休みは土日祝日、
長期休暇は2ヶ月前に申請、どう?」


リリー「そんなに貰えるの!??前の仕事だった仕分け作業は1600ポンドだったわ。」


私「その代わり、何でもするんだよ?お庭の掃除だってするし、夕飯だって作るし。」


リリー大丈夫ボス。私しっかり働きます。」


で、とりあえず労働に関する契約は完了したので


書面にして、お局様に見てもらって(労働契約関係のプロです)、バッチリOK!


で、早速働くにあたっても、服がボロボロなので


よく行くお店へ。



まあ、3日分の服さえあればいいだろう。あとはフォーマルスーツ執事も信用第一なので、格好で足元を見られます)を準備。


で、着替えさせるときに見えた下着が、あまりにもボロボロすぎたので


それらも新調(驚くほどボロボロでした)



そしたら、リリーがものすごく泣くんですよ。


リリー「自分の母国で、外国人に助けられるなんて思わなかった」とか、「こんなに優しくしてくれるなんて思わなかった」とか。


う~ん・・・私もまさか、ここまで助けるとは思ってなかったしなぁ~・・・


話を聞くと、このリリー

年齢は24歳と若いんですが、あまりいい家庭環境ではなかったようで

母親再婚して、一緒に住んでないらしく

父親はずいぶん前に連絡を取って以来、どこにいるかもわからない。

兄弟は妹がいるようですが、母親に連れられて別れて以来会ってないとのことでした。



まあ、何にせよやる気だけはあるようなので


気合を入れて、シゴいてやるか!!

このデジログへのコメント

  • けんと☆彡 2018年09月11日 09:52

    ステキな話ですね!ほっこりしました!

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