仮想通貨は世界を救う。が、価値保存の機能はない。

仮想通貨は決済通貨としては優れている。貿易などの決済がすべて仮想通貨で行われるようになれば、米ドルの地位は低下し、世界経済がアメリカ経済に左右される度合いが減る。恐慌が起きても緩和される。

仮想通貨や地域通貨、ポイントなど中央銀行のコントロールが効かない通貨が増えれば、その分、中央銀行が間違った政策をとったときにバッファになる。世界大戦がドイツやアメリカの中央銀行の政策の誤りから起きたことを思い返すと、仮想通貨は人類を救うと言っても過言ではない。

しかし、株式のように実体的な価値があるものと違って、仮想通貨には裏付けがない。妥当な価値基準というものが存在しないので、割高か割安かを判断できない。しかも分散もできないので投資対象にはなりえない。

通貨には決済と価値保存の機能があるが、仮想通貨は後者の機能を欠いているので資産にはなりえない。

仮に大儲けした人がいたとしても、その人はまさにその大儲けしたことにより金融リテラシーを失い、相場から退場させられることになる。

これはチューリップバブルなど過去のバブルが教える経験則であり、人間は歴史に学ぶ能力のない生き物なのでこの悲喜劇は永久に繰り返される。