蚊×蚊

「だから、私は隣の池のことなんて知らないって言ってるじゃないの！」

「そんなこと言ったって、早くしないと、おたまじゃくしが蛙になっちゃうでしょ？」

「だから、分かってるって言ってるじゃないの！ザリガニがおたまじゃくしを食べてるから別にいいんだってば！」

「そんなこと言ったって、ザリガニがおたまじゃくしを全部食べられるわけじゃないでしょ？」

「だから、そんなこと言われたって、おたまじゃくしをどうにかできるわけじゃないでしょ！」

「そんなこと言ったって、ザリガニをもっと連れてこなきゃ駄目なんじゃないの？」

「だから、そんな沢山ザリガニをどこから連れてこれるっていうの！」

「そんなこと言ったって、ザリガニがいなきゃおたまじゃくしが蛙になって私達が食べられちゃうんじゃないの？」

「だから、藪の中にいる私たちがザリガニとかおたまじゃくしのことどうにかできるわけないでしょ！」

「そんなこと言ったって、どうにかしないとおたまじゃくしが蛙になって大変なことになっちゃうんじゃないの？」

「だから、世の中には出来る事と出来ない事があって、運悪く蛙に食べられたのだとしたらそれもまた仕方なくて、余計なこと考えるくらいなら虫取りに来た子どもの血でも吸って卵産んですべきことするだけなんだから、もう本当にうるさいから黙って！二度と喋らないでっ！」