【お題日記】あなたは最近、小説を読んでいますか？

最近だと井伏鱒二の「山椒魚」ですね。
山椒魚は実は井伏の初期の頃の作品で、最初の題名は「幽閉」でした。
初期の頃は動物を題材にした作品が数多く書かれています。
その中の一つが山椒魚だったわけです。
山椒魚はさっと読むとそのまま読めてしまう作品ですが、実際には山椒魚は現代知識人を模したものと言われており、深く読み解いていく必要があります。

井伏鱒二というと、やっぱり一番好きな作品は「黒い雨」です。
昭和40年代に書かれた作品ですが、これは広島の原爆を題材にした作品です。
戦後20年を経て発表された黒い雨は、多いに話題となりました。
井伏自身、広島県の出身です。
出兵から生還し疎開で甲府にいたところ、空襲に遭ったために故郷である広島に疎開。
その後広島は原爆を落とされることとなります。
当時、井伏が被爆したわけではありませんが、大きな衝撃を与えたことは想像に難くありません。
黒い雨は、20年の月日をかけて、丁寧に作り上げたのだと思います。
淡々と描かれていく原爆が投下された日からの描写には、鬼気迫るものがひしひしと感じられます。
是非、黒い雨は読んでみて欲しい作品の一つです。