お化粧≒武装

僕は結構、汗っかきだ。

夏にもなればムースやジェルなどの整髪料は使えたもんじゃない。汗で顔に流れてきて、顔がべたべたになっちゃうもん。

だから、女の人はお化粧しなきゃならんから、大変だなぁと時に同情する。

汗かいたら、気分悪いだろうな…って。

ところで、僕もお化粧したことあるよ。

別に女装した訳じゃなくて、大学の時に演劇やって、こてこてのお化粧をされたのら。

だから、お化粧の気分悪さって分かるのね。

まず、ファンデーションとなるドーランを自分でコテコテに塗る。その時点で顔の皮膚呼吸能力奪われた感じで結構苦しい。その上にメークのおねーさんが細かいメークアップをされる。

で、派手派手なメークされた自分に対面すると、僕はもう僕ではなくて、この劇のなんちゃらとかいう役柄だと認識できる。まさにペルソナ（仮面）みたいなもんだ。舞台の上では、僕は僕ではなくならなきゃならん。

舞台メークにはそんな役割があるけど、狭い舞台で強烈なスポットライト浴びるんだから、汗かく。結構気持ちわりぃ。

まあ、舞台に立って見られるという興奮（あ、えっちい役柄じゃないよ）から、結構ノリノリでやっちゃうし、幕が下りた後には、終わったぁ！という興奮で、化粧の気持ち悪さは耐えられたけどね。

でも、カーテンコールの後は洗面所に直行！顔がつらいんだもの。

まあ、学外にカノジョいたり、バイトする必要があったりして、劇団はすぐに辞めちゃったけどね…

キャンパス歩いてて、いきなり演出さんに声掛けられてやっただけで、強烈に演劇をしたいって訳でもなかったし…

それはそうと、僕の親しい女性には30代に入っても化粧しないって人が結構多い。

妹もそうだし、付き合ったことのある女の人のほとんども日焼け止め以外にメークしない人たちだった。いわゆる、派手な顔なのね。それに、香港の女性ってほとんどメークせんし。

昔のカノジョのひとりは、メーク無しでフェイ・ウォンみたいな顔してたんだけど、ある時、「久しぶりのデートだからへんしーん」とメークしたら、おぞましい顔になってたことがある。すっぴん美女ってメークの必要ないんだよね。

その場でも、長期的にも劣化の要因になるリスクの方が大きいのだ。

でも、何かにすねて遊んでる女の子の宝塚顔負けの濃いメークって、なんだか理解できる。

お水のおねーさんとかのも…

あれって、脆弱な内面を保護する防具なんじゃないかと思う。本心では自分の望まない、ハイリスクなことを
する時に可愛い素顔じゃ、危なっかしいにーちゃんやおっさんに内面にずかずか踏み込まれるって怖さってのがあるんだろうね。ケバいお化粧が仮面となって魂をまもってくれる、そんな無意識の防衛があるのかな、とか思う。

それって、未開部族の戦士がおぞましいウォーペイントを顔に施したり、おぞましい仮面をかぶったりして、相手をびびらせ、自分の魂も守ろうとしたのと似てるな、と思う。

だから、そんな戦闘的なお顔でカレシ探しなんてしたら、あんまりうまくいかないと思うな。本当の恋愛ってさ、こっちが相手の内面にすーっと入っていけて、こっちも相手が自分の内面にすーっと入ってくるのを許して、ひとつに融け合う、究極的な平和の行為なんだもの。

心からいいなと思う人を見つけたら、自分から武装解除しなきゃ。

まあさ、お化粧しないといかんって人がいるのも知ってるけどね…

そんな人は、心から好きになれるお相手を探したい時には、武装にならん程度の必要最小限のメークにすればいいと思うよ。

（写真はAV女優の秋月杏奈・紅音ほたる。同一人物。まずギャル系でえげつない作品でデビューした後、実はかなりの美少女だということで素顔に近いメークで同じような過激な作品に出演。その後、またケバケバに。派手なメークで武装してないとやってらんないんだろうな、と、心理学のドしろーとではない僕には感じられる。まあ、僕はどっちの顔も好きだけど…もし、彼女と付き合えたら、ギャル顔の方では楽しく遊べはするだろうけど、内面には絶対入ってけないな、と思うよ。）