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Alexからのお誘い・・・(05)

2006年07月01日 12:55

それからも時々Kevinは私に電話してきた。
と、言っても全部仕事がらみ。

だからほんとに少しずつ、Kevinのことを知った。
彼の出身。彼の好きなこと。彼のバックグラウンド
彼の交友関係。
それから、ほんの少しのAlexの話題。

Kevinを好ましく思っていた私にはKevinを知ることが嬉しかった。
(Alexのことはどうでもよかったけど)
とはいえ、恋愛対象としてKevinを見ていたわけではない。
絵画のように鑑賞の対象だったのだ。
まさに目の保養ってやつ。
彼は美しい外見とは裏腹にダークな一面を持っていた。
そんなギャップも好ましく思えた。

けれど寝てみたい、と思う男なら別にいた。
同じ開発部のAndrew。
彼はすごくナイスバディで、
横から見るウエストからヒップのラインが完璧
後ろから見る背筋から腰のラインも完璧
思わずむしゃぶりつきたくなるほど、美しい体をしていた。
これを楽しめたら、どんなに素敵だろう、と
Andrewを見るたび、私の視線は彼を追っていった。
でもそれが叶わないことは知っていた。

Andrewは軽率で軽薄な男だったから。
私は彼を自分のものにしたいとは思えなかったし、
自分の男としてでなく彼を楽しむのは私のポリシーに反する。
それに、必ず望まない噂がたつことは予想がついた。口も軽いから。
特に後者が理由で断念していた。

そんなある日、Alexからメールが届いた。
12月のことだった。

「ゆりこさん。Kevinからゆりこさんと私は同郷と聞きました。
 私は車で帰省する予定です。よかったら同乗しませんか?」
「Alex。お気遣いありがとう。
 今年は予定があるので、帰省しません。
 長いドライブとなるのでしょうね。お気をつけて」
「ゆりこさん。ご一緒できなくて残念です。
 今度帰省するときには是非声をかけてくださいね。
 どこまででも、お迎えにあがります」

ふう、と私はため息をついた。
どうしてAlexは私に連絡してきたのだろうか。
婚約者がいるのだから、彼女を乗せればいいのに。

Alexの車に乗る気にはなれない。Alexを好ましいと思えないからだ。
借りを作りたくもなければ、彼に私の個人情報を教えるつもりもない。

それに、予定があるというのは本当なのだ。
Maxの実家で正月を過ごすことになっていた。
4ヶ月ぶりにMaxに会える。

電話で愛をささやく日々は私の支えとなっていたけれど、
私は知っていた。
既に長らく私の友人でもある、彼の友人らから
彼が浮気していることを聞いていた。
「落とすのが楽しーんだよ。落としたらもういらない」
そう言って彼はゲームを楽しんでいるらしい。

浮気、なら許せる。
帰ってくるところが私なのなら。

でも本気だったら?
いつか本気になってしまったら?

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