デジカフェはJavaScriptを使用しています。

JavaScriptを有効にすると、デジカフェをより快適にご利用できます。
ブラウザの設定でJavaScriptを有効にしてからご利用ください。

代償No.9

2018年04月07日 22:29

代償No.9





それだけでも、訳の分からない快感に、

自分がなくなってどこかに消し飛んでしまいそうになるのを、

なんとかとどめようと意識をやっと手繰り寄せていたのに…

あの人はその程度ではもちろん許してはくれなかった。


蕾を濡れた舌で嬲られながら、同時に蜜壷に指が

ゆっくりと挿し入れられてから…

抜かれた。



「ひやぁっ…んあっ…」


「あんっ…あぁっ…」

膨らんだ蕾を舌で押し潰されながら、滑らかな襞を擦りつける指の

抜き挿しが繰り返される。

部屋の中に響く淫らな水音が徐々に動きを早め、

その動きに合わせるように私は欲するままに腰を揺らしながら絶叫した。

「あぁあ…いやぁ~やめてぇ~」


しばらくそうやって私をいたぶりつくしたあの人は、

突然指を差し込んだまま、蕾から唇を少し外した。

「うそ。お前のやめてはもっとの間違いだろ?壊れてしまえ!

もっともっと淫らに、堕ちてしまえ!!」

そして、あの人はまた私に繰り返し強烈な刺激を与える。

とうとう耐えきれなくなり…

躰が高ぶって目の前が一瞬にして弾けた。


意識が飛ぶ。もう何もかも…

どうでもいい。

私はその夜初めて受ける責苦の快感に、また意識を完全に手放した。


真っ白な世界に飛び込めば、そこにあるのはただ突き抜けるように

気持ちイイという事実だけ。


目の前の右眉を上げた男が妻帯者で自分の上司であることも、

快感に溺れる不道徳な女である私が、愛して結婚した夫に捨てられ蔑まれ、

暴力を受けて離婚したシングルマザーであることも、

この肉体関係不倫だというリアルもすべて脳裏から消し飛んだ。


それでも所詮全てを忘れて溺れるように堕ちることが許されているのは

この世界から隔絶された暗闇の中だけで…

ほんの一夜の事だということは変わらない。


どんなに抱いてはいけない感情をごまかして、

悪ぶってみても所詮私は私自身で何も変わらないし、

変わる事ができない…


この関係が何も生み出さないし、それで何かが叶うこともないと、

全てわかっていた。


今までは真面目に地味に生きてきた。

そうやって静かに平凡に生きてきたはずだった…

私の理性はどこにいってしまったんだろう…

私のこの胸に秘めた恋心はどこに向かっているんだろう…


時折今の生活も、仕事も、しがらみも、娘達も何もかも捨て去って、

ただあの人と添い遂げられたら…

あの人とどこかに逃げられたら…

なんて無理なことを思うときがある。



突っ込んで擦って、揺さぶって放ってしまえば

男はそれで充分満足するものなんじゃないのだろうか…

私は熱を放ちながら意識を手放す前そんなことを思っていた。


蕾に口付けられ、舐められ、感じていることを嘲られる恥ずかしさ。

そんな不潔な所が誘っていると唇を押し付けほくそ笑むあの人に、

口には出さない愛情みたいなものをどうしても感じて…

勘違いしてしまう。

こんなこと、ただのセフレじゃできないんじゃない?

どうしてあの人がそんなに私の躰を隅々まで愛でるのか…

イかせることにこだわるのかが…

理解できない。


誰も…

誰一人として私にそんなことをしようとはしなかったのに…

それこそ『あばずれ』と蔑まれなければいけなかったそんな私なのに…


慣れない行為に感情ばかりが先走ってしまう。

心が感じてしまえば、躰なんてどこを愛撫されたって

何度でも、幾度となく達してしまう…


次がいつになるのかわからない、先の見えない交わり。

私はその次まで疼く躰をなだめながら

生きていかなければいけないのだろうか?


次はあるはず…

次を待ち望んで、ただその夜の為に…

その快感の為に…

生き延びる。







手放した意識が戻ってきて…

目覚める。

あれから、いったい…

どれだけの時間が経ったのだろう?

重たい瞼をゆっくりと持ち上げると

眩しい光の線がカーテンの隙間から何本か差し込んでくる。

何も身に纏わないこの姿に後ろめたさもあるから、

明るい光をこの身に浴びたくなくて…

掌で遮った。

その光のまぶしさに自分の愚かさを晒されてしまうようで…

怖かった。


反対の掌でベッドの上を撫でてみたが、そこに人の気配はなかった。

私はベッドにまた…

またもや独りぼっちだった。


躰を少しだけ起こし、背をずらして枕を敷いたまま

首を動かしてあたりを見回してみたけど…

やっぱり誰もいなかった。


あの人はどこなの?シャワーを浴びているの?

昨夜も結局私だけがイかされたのだろうか?


気怠い躰で愛おしい姿を追い求める。

ベッドの上だけでは見つけることができなくって…

胸がぎゅっと締め付けられる。

でもたっぷりと弄ばれ疲弊した躰をこれ以上起こすことも、

ここを離れることもままならず…


しばらくそうやって視界に何かを捕えようとしていたが、

一向に物音すらしない部屋に、気持ちが萎えて…

枕にボスッと顔を埋めて緊張していた躰の力を抜いた。


どうしていつも置き去りにされてしまうのだろうか?


昨夜は…

この前よりも激しかった。



こんな年で知る快感。その時はそう思ったはずなのに、

次に受ける愛撫が…

行為が…

今までにない恍惚感を引き出す。


セックスで躰が感じることのできる快感はどこまで深いのだろう?

まだ二晩の交わりだけなのに、底の見えない快楽の泥濘にはまり込み、

どっぷりと浸かってしまったようで…

コワイ。


限界がどこなのか?

自分の躰なのにそれがわからないことが

こんなに怖いなんて…


枕に顔を沈めたままの物思いに息苦しさを感じ横に向けると、

自分の躰に残された赤いがいくつも目に飛び込んできた。


あちこち散らかるハナビラのような印。

これだけの数、赤いをつけるのはまちがいなく手間なはず…

女の躰にそんなものをつけるなんて…

男の独占欲とか、嫉妬とか、執着とかなの?


でもセフレの私にどうして?

あの人の行動は不可解すぎて、何を考えているのか分からない。


仕事をする姿は冷静沈着でも、

私を組み敷くあの人は、時に感情的で冷たく突き放す言葉を吐く。

それとは裏腹な何かの感情を感じさせるような指先や唇の愛撫

躰に残された刻印。


何が本物なのか…

何がニセモノなのか…

何が本心なのか…

それを知る術があるのだろうか?


まだ、シーツに仄かに残っている煙草フレグランスの香りを見つけて…

そこに鼻を擦り付ける。


その香りを思いっきり鼻腔に吸い込むと、

快感を与えてくれるその躰はもうないはずなのに、

その愛撫を思い出して躰が疼いて…

反応した。


あんなに昨日イッたのに、それでもまだもっと欲しいと思う私は…

本当に貪欲な女だ。


慈しむようにもう一息それを吸い込むと、

条件反射のように何度でも反応し、欲情した躰に切なさがつのる。


アイシテル…」

私は思わずこぼれた言葉に驚いた。



あの人がいるときには決して許されない…

貪欲に何度も身体を重ねるたびに私はその言葉を、

心の中で繰り返し何度も叫ぶ。

でも、その言葉に音がのることは決してない。


そして…

おそらくあの人はそれを受け取ることは決してない。


それは望んでいないと最初に言われてしまったことだから…

あの人の望まないことはしたくない。

あの人にとって私は…

気まぐれで終わるかもしれないようなただの情事


でも、置き去りにされた今このくらいは許してほしい。


もう少し…

もう少しだけ…

このままでいさせて。

私はしばらくの間、あの人の残り香に抱かれていた。


どんなにこの香りに未練があっても、

どんなにこの姿のままで、ここにいたいと思っても、

それでも、いつまでもここに留まるわけにはいかなくて、

仕方がなくかけものを剥ぎ取って躰を隠し、

ゆっくりとベッドから起き上がった。


が生々しく残った自分の躰には極力視線を落とさないようにしながら、

正面に見えるドアに向かってただまっすぐに歩いた。

分厚いカーテンの隙間から見えた射光が、

ますます強くなっているような気がした。

私はその光に背を向けベッドルームをそっと出た。


バスルームを探す為にあられもない姿のままで彷徨う。

これだけの時間、何に物音もなかったから、

もうあの人はいないのだろう…


TVの前にある小さなデスクの上に、お金と紙切れが置いてあった。

それがもういないことの合図だと言わんばかりに…


そこにあったのは『タクシー代』とだけ書かれたメモに1万円札。

それじゃあまりにも多すぎだろうけど…

おそらく面倒だったのだろう。

ホテルの支払いは済ませてあるのだろうか?

少し歩けば駅があるから電車で帰ってもいいのだろうけど…

こんな時まで、どこまで細やかな気遣いなんだろうと

苦笑するしかなかった。





このウラログへのコメント

まだコメントがありません。最初のコメントを書いてみませんか?

コメントを書く

同じ趣味の友達を探そう♪

プロフィール

吾朗

  • メールを送信する

吾朗さんの最近のウラログ

<2018年04月>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30