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情事No.13

2018年01月10日 02:34

情事No.13





「笛木くん…」

ため息交じりの鈴村の声がする。

「初めて名前、呼んでくれたな」

「そんなことないよ。さっきの飲み会だってそうやって呼んだじゃない」

「いや、気持ちが込もったのは、今が初めてだ」

そう言ってオレは鈴村の髪をかき分け、形の良い耳を口に含んだ。

「あっ…。 そんな…」

初めて彼女をリードした気がした。
そのまま耳たぶを甘噛みする。片手はバスローブを脱がし、その背中をまさぐる。

鈴村の小さな声交じりの吐息が甘く、そしてたまらなくくすぐったい。気持ちがトロけていくのがわかる。

「笛木くん… くはぁぁ……」

オレの右手が、鈴村の小ぶりの乳房を捉えた。手のひらで乳首を転がし、柔らかな乳房を包み込む。


「ずっと…こうしてたかったよ」

「そんな…嘘ばっかり…」


オレの言葉を笑い飛ばそうとするが、快感に言葉の途切れる彼女

「嘘じゃないさ」

「さっきの店から……ずっと?…くぅぅ」

高校の時から…ずっとだ」

え?、という間が一瞬感じられた。
オレは鈴村の乳首に顔を寄せ、その立った乳首を口に含む。

「ひゃ…笛木…く…」

「毎週火曜と金曜は、男バレと女バレが体育館で合同練習だったろ? その時からずっと、鈴村のコト、こんな風にしたかったって思ってたよ」


「うそ…くぅぅ…笛木…く…気持ち…い…」


チュパチュパ乳首を転がし、吸い付いては甘噛みする。もう片手は、残りの乳房を揉みしだいている。

こうやって、鈴村のカタチのいいおっぱいを、ずっと…口に入れたかったよ」


「ダメよ…笛木く…そんなにされたら…感じすぎちゃ…うぅぅ…」


本当に鈴村をよがらせている。
その乳首を舌で転がしながら、オレは猛烈に感激していた。
あの、鈴村奈津子のことを、こんな風に抱く日が来るなんて。


高校の頃、鈴村奈津子は学校のミスコンに出るような華々しいキャラではなかった。
身長が170の手前くらいまであって、大抵の男子と同等かそれ以上の上背があった。


大人になったいまならほんなことは大した問題じゃないが、自意識の強いあの頃は自分より背の高い女なんて認められない空気があった。


その中にあって鈴村には結構ファンが多かった。
顔だってそんなに美人って訳でもないのに、鈴村が競争率高かったのは、彼女が大抵の男子と気さくに話ができるという性格にあったからだ。


馬鹿話や下ネタだって受けて立つような。いつも明るく笑いながら、オレ達とふざけ合っていた鈴村。
同じ学年の奴には手が出せず、結局は上の学年の先輩と付き合っているというのが定説だった。

「実際のトコ、東海林先輩と付き合ってたのかよ?」


居酒屋のビアジョッキを傾けながら、何気ない風を装ってオレはそう聞いた。
本当はあの頃、いちばん気になっていたことだ。


五年ぶりに開かれた高三のクラス同窓会
同級生の半分が地元を離れて県庁所在地で働いていることから、同窓会は隣の市の地元でなく、より賑やかなこちらの街で開かれた。


新しく開業した新幹線の停車駅でもあり、東京に出て行った連中も来やすいだろうという配慮もあった。


そして鈴村は、その期待に答え、珍しくこの会に顔を出してくれた。


「両親は二人ともここの人じゃなかったから、いまはこの街を離れて暮らしてるわ。だから私ももう、ここに帰る家なんてないのよ」

二杯目のビールを飲みながら、鈴村はそう答えた。


結婚は、何年目なんだっけ?」

「四年目かな」

子どもは?」

「やーね、笛木くん。そういうの、デリカシーがないって言うのよ。そんなのイキナリ聞くのは最近よくないのよ」

笑いながらオレをたしなめる鈴村は、昔と変わらずサバサバとして、重たいところがない。だからこんなデリケートな問題も気楽にいなしてくれる。

「うるせーよ、ここは東京じゃねーんだよ。オレ達田舎もんは、そもそもデリカシーなんて持ち合わせちゃいねーよ」


「知ってる。高校生の時も、私に『お前が泣くとこなんて想像もできない』なんて失礼なこと、平気で言ってたもんね」


そう。
ある秋の日、放課後の教室に参考書を取りに帰ったら、鈴村の席に三人の女子が集まり、何かを話しているところに出くわした。
何話してんの?、という軽い問いかけに、振り向いた鈴村の顔が涙で濡れているのを見て、オレは猛烈に動揺した。
口の中がカラカラに乾いて、何を言って良いのか全くわからなくなってしまった。
だからつい、

「なんだよ、鈴村みたいな奴でも泣くことあんだな」

って言って、彼女達が言い返す前に教室を走り出していた。

「ヒドい人だよね、ってあの時八重子美里も笛木くんのこと、ボロクソに言ってたんだよ」
三杯目のビールを飲みながら、鈴村は笑ってそう言った。

「知るかよそんな昔のコト」オレも軽くそう答えながら、「でも実際なんで泣いてんだ、あの時」って続けた。

内緒よ」

「なんだよ今さら」
ふふ、と鈴村は笑った。

「フラれたの。あの時、私」

そう聞いて、なぜか胸がドキリとした。
何年も前の出来事なのに。自分が誰よりも最初に鈴村ファンになった、と自覚していた。だから鈴村の涙の理由は、その後もずっとずっと気になっていた。
今こうして、酔ったイキオイで、その開かずの扉が開かれようとしている。

「フラれたって、誰に?」
「一つ上の先輩に」
「先輩って、バスケ部東海林先輩?」
「なんで知ってるの?」
「そりゃ、」

と言って、思わず口ごもってしまった。それは、惚れた相手のことは何でも知っていたかったからだ。
そして悔し紛れにオレは、質問に質問で答えた。

「実際のトコ、東海林先輩と付き合ってたのかよ?」

「まぁ、付き合ってたって言えば付き合ってたのかな。一緒に帰ったり、予備校行ったり、映画見たり…。 今にしてみれば可愛らしい関係なんだけどね。あの頃はそういうひとつひとつが宝物みたないものでしょ?」

へぇー。鈴村みたいな暴れ馬は、やっぱ年上のオトコじゃないと手綱を引けないのかもな」

「えー、良く言うよ、自分だって女バレの後輩に手を出してたの知ってんだからね」


マジ?
なんでバレてたんだろ?
女バレの監督のヒステリーおばさん教師は、女バレに『男女交際禁止令』まで出しちゃって、人権侵害婆として有名で。
それでオレは絶対水面下交際を実践してたのに。

「なんで気づかれたんだろーって顔ね。馬鹿ね。女子高生なんて、彼氏ができたら嬉しくて、公言して回るに決まってるじゃない。知らなかったのは、監督と笛木くんぐらいなものよ」
「マジか?」
「マジよ。てゆうか、そんなこと今さら聞いて動揺するのもどうかと思うんですけど」

そう言って鈴村は、ビールの杯をもうひとつ空にした。
苦笑するしかないオレ。
こちらもジンリッキーを追加する。


「なにそれ、格好良いお酒飲んでるじゃない」
ビールだけだと腹が出るからな」
「そんなこと気にしてる訳?」
「お前はいいよな、そういう心配なくて」

そう、鈴村は高校生の時からヘアスタイルが大人っぽく変わったくらいで、特に老けた印象がない。

「なにそれ。今でもガキっぽいって言ってるの?」
「ちげーよ、今でも若々しいって褒めてんだよ」
「あ、それってシタゴコロね?」

くふ、って笑いながら言う鈴村の流し目に、やたらとドギマギしてしまう。行きつけのキャバ嬢とならコレくらいの軽口、難なくこなせるのに。

「そうだよ下心全開だよ。オレはずっと鈴村のファンだったからな」

言ってやった。
参ったか。
鈴村は目を丸くして、オレの言葉を受け止めている。

「いやそこは『なにそれー』とか言ってくんないと、話が詰まるじゃんか」
「な、なによ、それ」
「いや今じゃなくて」

オレの苦笑は深まる。喉のつかえが取れてしまえば、なんのことはない話だった。
でも、鈴村にとってはそんな簡単な話ではなかったのかもしれない。
テンポの良い会話のキャッチボールが途切れた後に彼女が口に出した言葉は、この夜の別の扉を開けるキッカケになるものだった。

「…笛木くん、でも…それ、本気だったの?」

上目遣いにこちらを見る鈴村のその、薄く曲がった唇に、店のライトが反射して鈍くきらめいた。そのことを、今でもハッキリと記憶している。



オレは高校卒業した後、一浪してから地元の県立大に入った。
そこでは今の仕事に直結する学部に在籍し、4年間のモラトリアムを思う存分楽しんだ。そして今の会社に入った。今の会社、というか役所なんだけどさ。
大学で学んだことがそのまま実践される、なかなか楽しい職場だ。
役所という職場柄、まわりはコチコチのお堅い奴かガリガリの権力志向の奴が多いが、オレの属する土木科はガチでハードな現場廻りが多く、必然的に同僚の誰もが世のため人のためという公僕意識を強く持つ、稀有で真っ当な職場だ。

その中の息抜きが、キャバクラ通いだ。
仲間内では『キャバ屋さん』と、呼びならわしている。
学生時代は色々な遊びもして、彼女もさほど途切れることなく入れ替わっていた。就職して嫁さんをもらい、5、6年は生活を安定させるために必死で働いた。そして職場の中堅どころになると、そんな真面目暮らしのどこかに遊びが欲しくなる。
公務員薄給では、そんなに派手に遊び歩くことなんてできないが、馴染みの女の子を作れる程度には店に通った。
学生の頃はそんな店で金を使わなくても女は途切れなかったが、堅い公務員の仕事をしていると、そうそう出会いなど見当たらず、勢いそんな店に行きつけるようになる。






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