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少女と中年⑤

2017年11月07日 00:29

~対決~

美香との週末デートは、春からずっと続いていた。花を見たりテーマパークへ行ったりと、離婚してから忘れていた感覚が少しずつだが蘇ってきた。それにしても、美香には驚くことばかりだ。最近の若い子の遊び方など、全くわからない私には、驚きの連続としか言えない。特にプリクラは未だに抵抗がある。私は身長こそあるが、既に中年太りが始まっており、お世辞にも若いとは言えない外見だ。美香と並ぶと、どうしたって親子にしか見えないのは仕方のない事だが、それでプリクラに一緒に写るのは、やはり少々抵抗がある。
それでも、美香と過ごしている時間は楽しい。無邪気に喜ぶ顔を見ると、もっと喜ばせてあげたい気持ちになる。
私は元々持っている私服は、それほど多くない上にセンスが悪かった。しかし今は、美香と言うコーディネーターによって、いろいろなお洒落をしている。本当に不思議な感覚だ。

美香とデートするの地域は、近所と職場の周りを避けるようにしている。もし、知り合いにでも見られたら、たちまち私はロリコン扱いである。それだけは避けたいと思った。一度だけ同僚に声を掛けられた事があったが、その時は姪っ子の買い物に付き合っていると誤魔化した。後で美香はむくれていたが、それは仕方のない事だ。
期末試験も終わり、これから夏休みという所で、美香の両親が児童相談所を訪れた。両親は既に和解し、今後は父親が改心して美香をちゃんと育てるという事だった。
職員の方から聞かされたが、私にしてもそれは望むところだった。こんな施設にいるよりも、温かい家庭で育つ方が、美香の為には何倍も良い事である。しかし、美香は違っているようだ。
「ご両親と私と美香ちゃんで、面会したんですけどね、美香ちゃんが家には帰りたくないって言い張るんですよ。私とご両親がなだめるんですけど、頑として聞かなくて・・・そこで、風間さんからも言って頂けませんか?」
職員の人もほとほと困っているようだった。

「わかりました。私からも帰るように説得してみます。ご両親が受け入れられるようになったのなら、家庭に戻るのが一番ですからね」
そういう私に
「よろしくお願いします。美香ちゃんは風間さんの言う事なら聞くと思うんですよ。」
と、職員の方は言っていた。今の私は、美香の保護者的な立場だと言う事なのだろう。
「美香ちゃん、入るよ」
ドアをノックしながら、私は美香の部屋に入った。
達也さん、いらっしゃい!」
いつもの様に迎えてくれたが、やはりいつもと違って元気がない。
「どうした?職員の人に聞いたけど、お父さんとお母さんが迎えに来てくれたみたいじゃん?」
そう言いながら、私は美香の横に座り、肩を抱いた。

「うん。来たんだけど・・・私は・・・帰りたくない。」
美香は言葉を詰まらせながら、帰る事を拒絶した。
「どうして帰りたくないのかな?ここよりも家の方がゆっくり出来るし、なによりお母さんとまた生活できるんだよ!」
私は、美香の真意を聞きたかった
「だって・・・ここを出たら・・・もう達也さんとは会えなくなっちゃうでしょ?私、それだけは絶対に嫌、今の私には達也さんしかいないんだから」
美香は泣きながら私の胸に顔をうずめた。子供ながらに、家に帰れば私との交際は、事実上できない事を察していたのだろう。それも無理はない。美香の父親と私は2歳しか違わないし、お母さんに至っては私より年下だ。そんな男との交際を許す親がどこにいるだろうか?ましてや美香はまだ中学1年生である。どのみちこういった結果にしかならない事は初めから判っていた。

私には言葉が見つからなかった。この施設を出る事は、私と別れる事が前提となる。美香は私と両親の狭間で苦しんでしまっている。その責任の一端は私にもある。私は美香の頭を撫でると、美香の涙を拭い軽くキスをした。
「俺を選んでくれてありがとう。でもね、美香の将来を考えたら、今は家に帰るのが大切だよ。確かに今みたいに年中会う事は出来なくなるかもしれない。それでも、全く会えないわけじゃないじゃない?メールだって電話だって出来るし、たまに会う事だって可能だろ?今の美香に大切なのは、家族の中に戻って、ちゃんと学校へ行って勉強する事だよ。俺が居なくなるわけじゃないんだからさ。」
少しズルイ言い方になってしまったが、親に認められなくても会う方法はいくらでもある。そういった事を引き合いに出して、なんとか美香を説得しようとした。
「でも・・・達也さんは待ってくれる?私が卒業するまで待ってくれる?」
美香はすがるように、私に問いかけた

「あぁ、待ってやるよ。その頃まで、美香ちゃんが俺の事を好きでいたらね!」
美香の鼻をチョンとタッチしながら答えた。
大丈夫!私は達也さんの事が好き。それはずっと変わらないんだから!」
そう言って美香は私に抱きついてきた。
「じゃあ、お家へ帰るという事でいいね?」
私は再度、美香に確認した。
「うん・・・達也さんがそう言ってくれるなら・・・私・・・帰る・・・」
まだ、すっきりはしてないようだが、とりあえず腹は決まったと言う事で、私は職員のいる事務室へ美香を連れて行った。

「どうも風間です。美香ちゃんですが、家に帰ることを了承してくれましたので、手続きをお願いします。」
職員の人がやってきて
風間さんありがとうございます。じゃあ、美香ちゃんこっちにきて」
美香の手を引いて、入る時に通された応接室入った。そこで書類の作成に入った。一通りの書類作成が終わると、
「はい、お疲れさま。これでこっちの書類は終わりね!あとはご両親に書いてもらう所なので、退所の日程が決まったらお知らせしますね」
職員の人はそう言っていた。

数日後、携帯電話児童相談所から連絡が入った。
「今度の土曜日に、美香ちゃんの退所が決まりました。本当にいろいろありがとうございました。」
職員の方は丁寧に知らせてくれた
「いえ、こちらこそ、いろいろ無理を言ってお願いしたのにありがとうございました。美香ちゃんにはよろしくお伝えください。」
私は退所に対しては、行かないつもりだった。両親と顔を合わせるのが何か気まずかったし、ここから先が口を出すべきではないと思ったからだ。
「それが・・・美香ちゃんのご両親が、どうしても風間さんに会いたいって仰ってるの。風間さんも当日来て頂けないでしょうか?」
まさに寝耳に水であった。美香の両親が会いたがっている。恐らく要件は一つだろう。今後、娘と会わないでほしいと言われるのだろう。

「わかりました。当日は私も同席します。何時頃行けば宜しいですか?」
いろいろ考えたが、美香は俺と別れた方が将来的には幸せになるはずだ、一時的には辛い思いをさせる事になるが、良い切っ掛けになるのではないかと思った
「11時頃にお見えになるそうなので、それまでにお願いします」
職員の方が答えた。
「了解しました。じゃあいつもの時間にお伺いします」
そう言って電話を切った。いよいよ両親との直談判になることになった。
土曜日はすぐにやってきた。私は美香と少し話す時間を持った方が良いと思い、いつも出かける10時には児童相談所へ行った。事務所で挨拶をすると、美香の部屋へ向かった。
「美香ちゃん、入るよ」
ドアをノックしながら、美香の部屋へ入って行った。
「あ、達也さん!ごめんなさい散らかってて」
短い期間ではあったが、溜まった荷物を一生懸命荷造りしている所だった。

「たぶんこんな事じゃないかと思って手伝いに来たよ」
そういって、荷造りを手伝い始めた。小さな部屋なので2人がかりなで15分ほどで片付いた。片付け終わると、ベッドに座り美香の肩を抱いた。
「懐かしいね。最初、達也さんの家に行った時も、こうやって掃除して汗かいたんだよね」
美香が突然話出した
「そうだね。その後シャワーを貸してまでは良かったけど、まさか一緒に入るとは思わなかったぞ」
そういうと、美香は笑いながら
「でも、達也さん私の裸見れて嬉しかったでしょ?」
いきなりドキっとするツッコミだった
ばーか、ガキの裸みて喜ぶかって!」
少し照れ隠しに笑ってかわした

お風呂に入ったとき、背中に硬い物が当たってたけどなぁ!」
まったく、美香のツッコミにはかなわない
「そりゃ男はみんなそうなるの!美香ちゃんは可愛いから気をつけろよ!」
照れ隠しに美香の頭を小突いた
大丈夫!美香の処女達也さんにあげるって決めてるんだから!」
そう言って、美香は私に抱きついてきた。その希望は、恐らく叶わないだろうと、心の中で思いつつも、美香を抱きしめてキスをした。
やがて、両親が到着したと、職員の方が知らせに来てくれた。

「じゃあ、行こうか」
そう言うと、美香の手を引いて部屋を出た。美香は私の後ろに隠れるようにして、事務室までやってきた。
奥の応接室に通されると、そこには美香の両親がいた。私は目が合うと会釈をして席に着いた。美香は両親の隣ではなく私の隣に座っている。
全員が席に着くと、職員の方がこれまでの経緯を説明した。その中で私は、保護者代理として美香の面倒を見ており、今現在、美香の信任が最も厚い人物である事が説明された。職員の説明が終わると、両親が重い口を開いた
「このたびは、うちの美香がお世話になりまして、本当にありがとうございました。」
両親の言葉が社交辞令であり、本心でない事は直感的に分かった。
「いえ、私こそ単なる通りすがりから、このような大事になってしまい、誠に申し訳ありませんでした。無事ご両親の元に帰れる日が来た事を、心より喜んでおります。」
とりあえず、当たり障りのないない言葉で返したものの、その場の雰囲気はピリピリしたものとなっている。美香は私の手を掴んで離せないでいる。恐らく、次に両親が口にする事を直感的に判ったのだろう

「あとは、当事者間でのお話会い下さい、私どもは席をはずしますので終わりましたら、声を掛けてください」
そう言うと、職員の方は応接室を出て行った。これから始まるであろう修羅場は、基本的に関わらないという事なのだろう。
「お世話になっておいて申し訳ないのですが、美香の自立の為に、今後は美香と会わないようにして頂けますか?」
突然、母親が切り出した。
「こんな事を言って良いか判りませんが、美香はあなたに特別な感情を持っていると思われます。先日も私達の説得では頑として聞かなかったこの子が、あなたがいらっしゃったとたんに、帰る事になったのだとか。保護者代理という立場はわかりますが、本当の保護者は私達です。あなたに口出しをされては、まとまるものが纏まらなくなってしまいます。これは、ほんのお礼です。少ないですが、これで何とかして頂けませんか?」
母親は私の前に、封筒に入れたお金を出した

「私はこういう物が欲しくて、美香さんを助けたわけではありません。ご両親が仲良く、そして美香さんを大切に育てて頂けるなら、私にはこの様なものを受取る義理はありません。どうぞお引き取り下さい。美香さんに会うなというのがご両親の意思ならば、私はそれに従います。」
美香はすがるような目で私を見ている。しかし、両親は少し安堵の表情になった。
「ただし、もし美香さんがまた逃げ出し、私の元に来るような事があるなら、その時は再び保護をします。そして、その後にご両親の元へお返しできるかは確約できません。」
私は、両親に対して釘を打った。両親はひきつったような顔をしたが
「それは判っている。この数ヶ月間、私たちなりによく考えた結果だ。君の言うとおりこれ以上、美香を悲しませるような事はしない。」
父親が口を開いた
「それを聞いて安心しました。私もご両親も美香さんの幸せを願うという点では、一致していると思いました。」そう言うと、父親と握手をして席を立った。これで終わりと思った所で、美香の手を母親が引こうとすると、その手を払いのけた

「なんで勝手に決めるの?私は達也さんと会わないなんて我慢できない。会ってはいけないなら、ここから帰らない。お母さん勝手だよ。私の自立って何?お母さんこそ子離れ出来てないだけじゃない。自立するべきはお母さんだよ。お父さんも変だよ。私を悲しませたくないって言いながら、いきなり悲しむ事をするのはなんで?やっぱり嘘つきじゃん。何も変わってないよ!」
美香は思いのたけを全てぶちまけた。そして泣きながら私に抱きついている。頭を撫でながらなだめるが、この状況は正直気まずい。両親の冷たい目線が私に突き刺さる。
一旦席に戻ると私から美香に問いただした
「じゃあ、美香ちゃんはどうすれば、家に帰ってくれるのかな?」
美香は涙を拭いながら続けた
「私、お父さんもお母さんも好きだよ。家にだって帰りたい。でも、達也さんに会えなくなるのは一番嫌。達也さんは私の事を一番わかってくれる。達也さんになら本当の事が言えるの。この気持ちを判って欲しい・・・」
最後は涙声になってしまい、よく聞き取れなかったが、美香の言いたいことは伝わった

「じゃあ、家に帰ってからも俺と連絡が取れるなら、家に帰ってくれるかい?」
私がそう言うと、美香は無言で頷きながら、私に抱きついてきた。
「私は、お二人の考えに口を挟む立場ではないし、その権利もないのは判ってます。もちろん、先ほども言ったとおり、お二人で決めた事には従うつもりです。でも、今の美香ちゃんの言葉を聞きましたか?これ以上は私の判断する範囲を超えています。お二人の判断に任せたく思います。」
私は間違った事は言ってないはずだ。恋人ごっこをしているだけで、美香に対して恋愛感情を持っている訳でもない。持っているとすれば、父性に近い感情だと思うが、それは本当の父親の前で言うべきではないだろう。
「美香、あなたはこの人がどういう人か知ってるの?」
母親は、美香に話しかけた

「この人はね、一度結婚に失敗している人なのよ。つまり、女性を幸せにすることが出来ないの。それに、年齢だって私より上なのよ。そんな人が、美香を幸せに出来ると思っているの?」
母親の言葉にはカチンと来たが、ここで言い争いをしても始まらないので、そこは腹の中に収めた。両親も私の身辺をいろいろ調べてくるだろう事は百も承知だ。
達也さんが一度離婚してるのは知ってる。でもそれは達也さんが悪いんじゃない!何も知らないくせに勝手なこと言わないでよ。達也さんに失礼じゃない。ちゃんと謝ってよ!それに年齢なんて関係ない!」
美香は毅然と言い返した。
「でも、これは事実なのよ。お母さんも美香の事が心配だから、ちゃんと調べたの。あなたも今にちゃんと判る時が来るわ」
そう言って母親は美香の手を取った。
「触らないで!」
美香は母親の手を払いのけた

「お母さんの事がよく判った。私は家に帰らない。家に行っても私には居場所がないから。」
完全に拗れてしまった。両親からすれば俺はただの他人であり、美香を落し込めた悪人でしかない。逆に美香からすれば、自分が窮地に立ったところに手を差し伸べてくれた恩人である。その差は埋まらなくて当然だろう。
「でもね美香ちゃん、美香ちゃんがどんなに俺の事を想ってくれても、俺はバツイチである事に変わりはないし、これだけの歳の差を社会は認めてくれないんだよ。それに美香ちゃんはまだ若いし、今人生を決めてしまうのは、まだ早いんだよ。全く連絡しちゃだめとは、ご両親も言ってないだろ?それでいいじゃないか?美香ちゃんはまだ俺以外の人を好きになった事が無いんだろ?それは勿体ないよ。ちゃんと家に戻って学校へ行けば、違う友達もたくさん出来る。その中には俺よりいい奴がいるかもしれないじゃん?そういう人達を見てくるだけだって、美香の人生では大切なことなんだよ。俺は逃げも隠れもしないから、いろいろ見てきて、どうしても俺じゃなきゃダメなら戻っておいで。俺はいつまでも待ているから。」
美香の頭を撫でながら、諭すように語りかけた。美香は私の手を握って泣いている

「それならいいですよね?」
両親にも問いかけた。
「美香、今の自分が全てじゃない。もっと違う可能性もあるって、達也さんも言ってるんだ。これは間違っていない。もう一度家族でやり直そう。もちろん達也さんと全く連絡するなとは言わないが、距離を置く事も大事だ」
いままで黙っていた父親が語り出した。美香は父親と母親を交互に睨めつけるように見ている。
達也さんは私の事嫌いになったの?それとももう飽きたの?」
美香は私にすがり付くように言った
「嫌いになんかならないよ。嫌いな子の為にここまでこないって!でもね、美香はまだ恋愛するには早すぎるんだ。今はもっと大事なことがあるからね!」
そう言うと、肩を抱きしめてやった。そして、
「俺の事が好きなら、家に帰るんだ。そしてもっとイイ女に成長して戻ってこい。美香ちゃんならきっとイイ女になれるよ!」

そういって、両親の前に背中を押してやった。後の俺を気にしながらも
「お父さん、お母さんごめんなさい・・・」
そう言って美香は泣き崩れた。これで良かったんだと自分に言い聞かせ、私は席を立って応接室を出た。事務室では、職員の方々も聞き耳を立てていたらしく、私を労ってくれた。
やがて、両親に付き添われて美香が出てきた。荷物の積み込みを手伝うと、職員と共に美香たちを見送った。暑い日差しが印象的な夏の出来事だった。

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