- 名前
- 住所秘密は無視のコルドンブルー
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- ♂
- 年齢
- 61歳
- 住所
- 京都
- 自己紹介
- 年齢設定少しだけ間違ってるしw 即逢いは望んでおりません。暫くメール交換をさせて頂き...
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祇園交遊録 7 【 祇園にイトと言う女がいた・・・・6 番外編】
2017年09月08日 00:24
祇園にイトと言う女がいた・・・スピンオフ
「大林君、大いに怒る!」・・・・その2
【前回よりの続き】
チャンチャラチャラチャラスチャンチャン・・・・・笑点のテーマソングである。
なんとももはや気の抜ける音楽である。
持ち主に似せた音楽でも入っているのだろうかと思うぐらいである。
「ミホか?」
「うん、どないしたん?」
「うん・・・・」
「うん・・・・」
「で、大丈夫やったんか?」
「そっか、ほな店に入っときチーフが開店準備してるさかい入っときや」
ミホとはイトの店の子で入店して一か月ぐらいで水商売の経験が無いまま祇園に飛び込んで来た子である。
今まで無言で食べてた大林君の箸が止まり顔をあげイトの方を見ていた。
「ええか、店に入っとくんやで」
そー言ってイトは電話を切った。
「ママ、どないしました?ミホになんかありました?」
「うん、ミホ 今日は○○さんと同伴なんやけど・・・・」
「食事に行く前に手をつかまれて強引にホテルに誘われたらしいんやわ、これから祇園で生きていくんやったら付き合えって言われたらしいわ」
「はぁ~~~~~ん?なんやそれ!で、ミホは大丈夫やったんですか?」
「うん、泣いてたけど大声出して手を振りほどいて逃げてきたって・・・・そやさかいもう店に入っときって」
大林君の顔がみるみると憤怒の相に変わってきた。
「ママ、ちょっと○○のとこに行ってくるわ、あいつ、ふざけた事しやがって・・・・しめてくるさかい!」
確か○○とは大林君と伏工時代の同級生で祇園で遊べる店が無いと言う事で大林君がイトの店に入れるようにしてあげたらしい。
「やめておきよし!」
イトが久しぶりに真顔できつい口調で言った。
「友達やからあんたの気持ちは判るけど もう相手にせんときおし!」
「そやかて・・・・・」
「あんたに悪いけど知り合いのママ達らに連絡して二度と祇園で遊べへんようにしとくし・・・・」
久しぶりにイトの怒る顔を見た気がした。
『大林、やめとけ!それよりミホをここに呼んできたり 一人で店におったら不安やろうしな』
立ち上がろうとしてる大林君を制するように私も声をかけた。
「かましませんか?ほな、連れてきますわ」
そう言うかのが早いかもう座敷を飛び出していた。
その大林君の背中に
「まち!絶対に○○さんのとこ行ったらあかんで!」
とイトがまたもや強い口調で投げかけた。
「はい」と返事を残し大林君はけたたましく階段を下り店から出て行った。
「ほんま腹立つわ・・・・祇園の女なめてるわ!」
「食事に誘ったぐらいで抱けるぅ思おたらあかんで・・・・その辺の場末の店のホステスとちゃうんやし」
「祇園の女はそんなにやすーないわ」
「勘違いするのもええかげんにしてほしいわ・・・・・・」
イトはブツブツ言いながら鍋に入ってる肉を箸が折れんばかりに押さえつけながら寂しそうな顔をしていた。
「なぁ、おにいちゃん・・・・・」
イトは人がいない二人きりの時は私をおにいちゃんと呼んでいる。
「花見筋にわけのわからん店が増えたやろ、それでだいぶん祇園の客筋も変わってきたわ」
「ビルのオーナも空きにしとくわけにはいかんやろうけど、もうちょっと考えて入居させて欲しいわ」
確かにここ最近花見筋にもいかがわしい店の看板が目に付きだした。
時には通りにそれとわかるような女性が客引きをしているのも目にする。
祇園で遊ぶ客は大人が多く楽しく飲んで騒いで粋に遊ぶ人たちがほとんどである。
たまに○○のように勘違い野郎も紛れ込んでくるが、そんな輩は所業が知れ渡ると祇園から締め出しを喰らう。
少なくとも私の周りではそんなアホな奴はいない。
「ただいま戻りました」
大林君がミホを連れて戻ってきた。
「ミホ、大丈夫か?」
イトは横に座ったミホの背中をさすりながらやさしく声をかけた。
「はい」
よほど怖かったのだろうかまだ小刻みに震えている。
「もう、大丈夫やし気にしーひんかったらええわ」
「でも、かんにんやで・・・・確かめもしーひんと同伴行かせて」
その言葉でまた、ミホの目から涙が零れ落ちてきた。
「もう、泣かんでもええし」
「あの・・・・・」
消え去るような小さな声でミホが口を開いた
「なんえ?」
「祇園で働こう思うたらあんなこともしーひんとダメなんですか?」
「アホやな、そんな事する必要はないわ」
「絶対にしたらあかんで、売り上げを上げるためだけにそんな事したら最低のホステスになってしまうんやで」
「そんな事してまで売り上げあげんでええし、それで店が潰れるんやったら潰してもかめへんし・・・あんたらにそんな事までさせて店を続けようとおもってへんしな」
「うちの店にいる限りはそんな事は絶対にしたらあかんえ!わかった?」
「はい」
『もう、なかんでエエから早よ食べ お腹がへってるやろ』
『一人前で足りるか?』
追加で同じオイル焼きのロースのコース一人前を目の前にしてミホは小さくつぶやいた
「とりあえずは・・・・」
わらけてしまった。
その「とりあえずは」で私もイトも少しホっとして笑ってしまった。
一方、大林君はと言えば怒りがおさまらずその憤怒の形相は崩れもしなかった。
聞き取れない声でブツブツ言いながら肉をほおばったりビールをあおったりしていた。
するといきなり携帯を持ち出し電話をし始めた。
「○○か!われ、なんちゅうことしてくれてんねん!うちの子に・・・・・」
「やかましいわ!ただで済む思おたら大間違いやど!」
「なにがじょうだんや!いっぺんしめたろか!」
怒りが爆発し○○に電話をしたようだ。
「われみたいなんは伏工の面汚しや!喧嘩をしても女をいじめんのが伏工の男やど!」
(大林、お前卒業して何年経つんや・・・)と心の中で突っ込んでしまってた。
暫らく携帯を持って怒鳴っていた。
「おぅ、待っとけ!きっちり話しつけにいくさかいな!」
と投げ捨てるように言い電話を切った。
『なぁ、ミホ イトママもマネージャーもみんなミホの見方やからな』
『もう、いらん心配せんと忘れて腹いっぱい食べや・・・・・・』
私が言い終わらないうちに大林君が口を挟んできた。
「ミホ、すまんな~ ○○にはきっちり話しつけてしばいとくし・・・・」
「二度と祇園を歩くなゆーとくから心配せんでええからな」
食事を済ませそのままみんなで店に戻った。
車の中でも一人ブツブツと言い続けてた。
大林君の怒りはおさまらず怒りの形相でお客に接していた為に常連からは
「大林、どなしたんや?顔が怖いで・・・・・あっ!いつもの事か~」
と、からかわれてしまうしまつだった。
その日は一日に憤怒の形相で仕事をし続けたらしい。
もちろんアフターに飲みに誘ったのは言うまでもない事である。
祇園にイトと言う女がいた・・・スピンオフ
「大林君、大いに怒る!」・・・・完
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