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【短編】別れた恋人

2016年09月24日 19:34

心地よく風の吹き抜けるくさはらの中を

恵子はゆったり歩いていた

やや長いスカートをなびかせ、帽子が風で飛ばされそうになるのを手で押さえ

空は高く、青く、細切れの雲が流れ、遥か前方の道の先へと消えてゆく

やがて、くさはらを切り抜くように、古びた小屋が見え

目的地が近いことを知らされた

小屋にたどり着くとゆるりと腰を下し、夏の日差しを避けて、影のほうへと移る

所々穴が開き、すすが乗りすっかり傷んだ木製の壁に目をやると、

これまたすっかり錆ついて、元の色がわからくなってしまった鉄板に目をやる

その鉄板は、細かく、四角く区切られ、太い文字で数字が並んでいる

それは、恵子の待つものの訪れが当分ないことを物語っていた

街へ買い物に、それが今日の恵子の予定だった

なので時間はたっぷりとある、特に慌てることは何もなかった

ただ茫然と景色を眺め、呆然と中空に目をやる

手を組み換え、足を動かし、時には、虫の鳴き声に耳を澄ます

その虫の音をかき乱すかのように、アスファルトをこする重低音があたりに響いた

バスの時間にはまだ早いはずだ

案の定それは、恵子に突風を吹き付けつつ通り抜け、

遠方へと立ち去っていくかのように思われた

しかしそれは、すぐ近くに停車したようだった

恵子はパンクでもしたのかと、心配になり腰を上げてのぞき込むと

コツコツと、一人の男性がこちらに近づいてきた

「恵子」
「綺麗になったな」

それはどことなく面影を残す、以前の恋人

「ありがとう」
「あなたも少し変わったわね」

髪を短髪にし、少し、しわが増えているようにも思われた

敏夫は、恵子に近づくや否や、恵子の顎に手をやり、恵子の顔をまじまじと見つめた

恵子はそっぽを向き

「やめて、あなたとはもう終わったのよ」

「顔を眺めるくらいいいだろ」

敏夫は少し強引に、こちらに向けさせ、またまじまじと見つめる

「ほんとにきれいになったな」
おめかしして、誰かと会うのか」

アイラインが引かれ、口元には薄く紅が塗られよく手入れが行き届いていた

そういうと、敏夫は、恵子の唇に指を這わせ、なでるように左右に動かすのだった

恵子は口を次第に開き、敏夫の指を感じているかのように思われた

敏夫はそれを見逃さず、唇を重ねる

「んっ」

恵子もまんざらではないようだ

敏夫はさらに体を密着させ、恵子の唇をむさぼる

「んっ」

辺りには、ちゅぱちゅぱといやらしい音が響き渡り

澄み渡った光景にももやがかかり、頭がぼうとするようだった

そのあとのことは恵子はもう覚えてはいない

気づいた時には、股下が少しひりひりするのを除いては・・・

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