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【短編】色気

2016年09月22日 15:13

敏恵は、今日も洗濯物をたたみ、料理を作る

新築だった家もすっかり傷つき汚れ、所々にくすみのようなものを感じてしまう。

家の中は、日の光が少しは入るものの薄暗く、気持ちまで落ち込んでしまいそうだった

このままじゃ私・・・

旦那が仕事をし、子供が学校に行っている間に買い物もしなきゃいけない

居間に行き、使い慣れた鞄をひったくると、良く疲れた箪笥が目に飛び込んできた

この家での出来事を静かに見守っていたそれは、何も言わずにそこにたたずむ

そっと中を開けると、普段来ている服が並び、その下には、小物やら、思い出のアルバムやらが並んでいる

敏恵は、ほぅとため息をつきそっと扉を閉めようとすると、箪笥の奥に仕舞われた箱に気が付く

なんだったろうか、自分でも思い出せないその箱

恐る恐る、埃をかぶった茶色のその箱をそっと手に取り蓋を開けると

かつて好きだったワンピースが丁寧にたたまれ、物言わず、そこに眠っていた

懐かしいなぁ、まだ着れるかしら

すっと取り出し、自分の体にあてがってみると、体系がまだ変わっていないのか、着れなくもなさそうだった

でもねぇ、20代の頃に着てたものよ

鏡で眺めるくらいならいいかしら

敏恵は、服を脱ぎ、そっと着替えてみることにした

着るとナフタレンの香りとともにその頃の思い出がよみがえる

この服で何度も旦那デートに出かけ

旦那もこの服をほめてくれたものだった

よし、っと自分に言い聞かせ、いつもは薄くしかしない化粧にも手を加え

この格好でもう一度と思ったのだった

肩は開き、胸元も空いてるけど大丈夫よね

その格好で外に出るといつもより外が明るく感ぜられるようだった

吹き抜ける風は心地よく、空も青く高く感ぜられた

車のエンジンをかけ、いつものスーパー

車を降りると、皆の視線のようなものを感じることができた

野菜に、乳製品に・・・お魚も買っていこうかしら

お魚売り場へと行くと、ほしかった切り身がすっかり売り切れてしまい

がっくりと肩を下す結果となってしまった

しょうがないわね

仕方なくきびすを返そうとすると、店の奥から敏恵を引き留める声が響く

振り向くと白衣に身を包んだ中年の男性がそこに立ち

お姉さん綺麗で色気あるからおまけしとくよ」

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