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成程話:モノを思い出す力

2016年09月18日 22:54

精神科医、和田秀樹氏の心に響く言葉


「記憶力」には、「モノを覚える力=記憶する(インプット)力」だけでなく、「モノを思い出す力=記憶を引き出す(アウトプット)力」があります。
この「記憶を引き出す力」、脳のどこかにしまわれた記憶を引っ張り出してくる「インデックス(検索)機能」を担っているとされるのが、前頭葉です。
この前頭葉が委縮(老化)してくれば当然その機能も衰え、モノがなかなか思い出せなくなります。
そして何よりこわいのは、この機能が衰え始めると、「悪循環」によってこの機能の衰えにさらに加速がかかってしまうことです。
それは「モノが思い出せなくなる」ことにより、「話題も出てこなくなる」からです。
長年付き合ってきた友人や家族などの間では、歳をとる以前から「アレ」「ソレ」「コレ」の指示代名詞だけでてっとり早く話をすることもあるでしょうし、それをいちいち「単語」に置き換えて話すのもどこかぎこちなさを感じることもあるかもしれません。
しかし歳をとって、「思い出せないから指示代名詞」の会話になってきたら、むしろあえて「指示代名詞NG」のルールを自らに課してみます。
例えば学生時代からの友人同士で、「ほら、隣のクラスの、なんてヤツだっけ、あの、いつも野球帽を逆さまにかぶっていた…」「ああわかった、アイツだよな」「そうそう、アイツ。名前思い出せないけど、まあいいか」…という会話になったとき。
ここでとりあえず一件落着して他の話題に移っても、密かに頭のなかで「誰だっけ、誰だっけ…」とめぐらせているうちに、何かの拍子に思い出せることはままあるものです。
「思い出そう」とすることで、脳のインデックス(検索)機能が頑張って頑張って、ついに記憶を引き出すことに成功する…こうしたことを続けていくうちに、「思い出そう」ともしない頃より脳のインデックス機能は格段にアップします。
また、出力系を鍛える最も簡単な方法は、“誰かと話すこと”です。
歳をとっても若々しい人というのは、自分の知らないことや知りたいことがあると、素直に「わからないから教えてほしい」と訊き、相手の説明に熱心に耳を傾けます。
そして、自分なりの経験や実績を積んできた人ほど、積極的に質問し、教えを乞います。
松下幸之助氏は晩年になっても「自分にはわからないこと」があれば、初歩的なことでも自分の孫ほどの年齢の技術者研究者に、徹底的に訊いていたといいます。
こんなことを言ったら、こんなこともわからなかったら、こんなことを訊いたら「恥ずかしい」…
そんなプライドは捨て去って、「わからないことがあったら、訊けばいい」という気持ちでとにかく人と話してみること。
これが出力系を鍛えることに直結するのです。

『一生 ボケない脳をつくる 77の習慣』ディスカヴァー


かなり若い年齢の人でも、「アレ」「ソレ」という指示代名詞が会話に頻繁(ひんぱん)に出てくる人がいる。
しかし、それに慣れてしまうと、「モノを思い出す力」はますます弱くなるという。
これは人の名前だけでなく、漢字や、単語、熟語、お店や商店の名前を思い出さない等々も同じ。
アウトプットをしくみとして強制的に行う方法には、会社の朝礼や会合でのスピーチや挨拶を積極的にするなどの他に、ブログSNSで近況や読書録等を毎日アップすることなどがある。
ブログを続けて書いていれば、素敵な言葉やしゃれた言い回しを書きたくなるので、始終自分の記憶の中を検索するようになる。
また、出力系を鍛えるためには会話力を上げるのがよいというが、それはとりもなおさず何事にも「好奇心」があるかどうかということでもある。
好奇心がなければ質問そのものが浮かんでこない。
「アレ」「ソレ」「コレ」を無くし…
モノを思い出す力を取り戻したい。

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