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16th Harumi Pier Part 14

2016年04月16日 21:30

16th  Harumi Pier  Part 14

ごうごうと風が吹く。
ざあざあと雨が降る。

おりからの低気圧は突然の嵐を呼んだ。
人気のない埠頭。
居並ぶ大型トラックの間に一台だけ
セダンが停車している。
揺れる水銀灯の下に浮かび上がるその車だけが
強風のせいばかりではない
微妙な揺れ方をしていた。
点灯された室内灯のほのかな明るさの中で
のたくるように二つの裸身が絡み合っている。
確かに「名所」ではあったから
シーズンは、のぞき天国だったし
逆に見られる事を興奮の材料と期待して
わざわざ室内灯をつけたまま
行為に及ぶカップルも多かった。
だが、さすがにこんな嵐の中だ、
淫行に及ぶ車はほかには無く
それをのぞこうとする好事家も皆無だった。

突然、前席のドアが開いて
全裸の男女が飛び出してくる。
雨が裸身を激しくたたきつけ
女の髪がたちまち水を吸い込んで
一部が顔に張り付く。
それをいっこうに気にすることなく
天をあおいだ。
頤と乳房を雨が激しく愛撫する。
たちまち乳首がツンととがる。
もともと淡いヘア
おまけによく手入れされているから
性器はまるでむき出し。
そこにも雨が当たり、膨らんだワギナ沿いに
複雑な水流を見せてくれる。

風に揺れる水銀灯が
強い光を落とし
強い影がゆうらゆうらと揺れて
裸の女優が立つ前衛劇の舞台のようだった。
そこにペニスを佇立させた男が登場する。
こちらももちろんぬれねずみだ。
そして二人がからみだす。
文字どおりぬめぬめとのたくりだすのだ。
声がなければ、まさに前衛劇だったろう。
だが、女性の口からは
炎のように淫語が飛び出した。
それはどんな劇でも、
いやうらぶれたストリップ小屋でさえ
叫ばれることのない種類の
あえぎと言葉だった。

抱き合った。
乳房を押しつぶすように体をぶつけながら
ねっとりと唇を吸いあう。
唾液
注ぎあい
吸いあい
垂らしあいながら
まるでロンドのように
だきあった身体を回転させる。
唇を離してはあえぐ。
「嵐が、嵐が…」
おまんこをこわすの。」
「もっとキスして。もっと狂って。」
やがて双方の手が悪魔触手のように伸びあって
互いの性器をもてあそびあう。
片足だけをバンパーに置いたから性器が口を開け
その形のままで腰を落とすから
さらに大きく開いてしまう。
そこにオトコの中指と薬指が侵入し
指先で「の」の字を描くように蠢きだす。
女の張りのある腰のあたりで
びくんびくんと反り返っていたペニス
女の手が包み込むと「い」の字を描くように
早くも遅くもないテンポでしごき出す。
「ああああああ」
「いいの。いいの。おまんこがいい。」
おまんこがいいのよおお。」
たまらず叫んだ女がいったん
身体を翻して離れたかと思うと
ドアを開けて車内にかがみこみ
ヘッドライトをONにする。
アスファルトに跳ね返る白い雨足が
足元の景色をさらに煙らせていたが
その朧な地面近くを
銀色の光芒が貫いた。
水銀灯のトップライト。
絞り込まれたヘッドライト
二つの光に浮き上がった舞台
風を受け
雨を浴びての
だれも見ない強烈なショウが始まった。

車の前にまわった女が
そのまま雨が流れるボンネットにもたれかかり、
今度は両足をバンパーを足がかりにせりあがると
大きく開脚して性器を直接雨に晒した。
「舐めて。舐めて。まんこ舐めて。」
言われるまでもなく
ピンクの挟間にむしゃぶりつく
じゅるじゅると音を立てて吸う。
雨に風に浸されながら
たっぷりと時間をかけての
強烈なクンニリングス
口に流れ込むのは
雨なのか
愛液なのか
吹きでる潮なのか
歓きわまっての放尿なのか
もうわからなかった。

「イっちゃう。そこ吸われただけでイッチャウ。」
舌をすぼめて可能な限り差し込むと
「だめ。だめえ。」
「嵐が。嵐が。おまんこおおお。」
「何度でもイクの。何回でも…」
このときは気づかなかったが
この女は高まりに達すると
子供のように親指をちゅうちゅう吸うのだ。
何度か立て続けに達した長いクンニのあとは
親指ではなくペニスに吸い付いてきた。
車に寄りかかって立つこちらに
ひざまづいてのフェラチオ
尿道のふくらみにそって
唾液を塗りたくり
むき出しの亀頭を舌で転がした。
合間に睾丸をくわえ
アヌスにまで舌を伸ばした。
しゃがんでひざまづき、
一方の手で自らのクリトリスをつまんで
性感を加速している。
噴出する愛液が雨と混ざって
しゃがんだ足元に垂れた。
豪雨でなければ、アスファルトの路面の上に
卑猥な紋章を描き出していただろう。

人ときの口唇性交
女の高まりは最高潮に達した。
「ちんぼこ入れて。濡れまんこに入れて。」
「ついて。突っ込んで。かき回して。」
おまんこに出して、どくんどくん出して。」
「もっともっとめちゃくちゃにして。」
「そう。そう。おまんここわしてええ。」
「ね・ね・ね。ほしいのよおお。」
「狂ってる。おまんこ狂ってるのよおお。」
「だめ。だめ。おくでなきゃやだ。」
「そう。そこ。そこ。かきまぜてえ。」
「いいの。いいの。こわして。」
おまんこおおおお。」
「ぐずぐずにしてえええ。」
機関銃のように淫語を連射しながら
少しづつ行為の位置を下げていって
とうとうアスファルトの上で
メス犬の形をとった。
風と雨が容赦なくたたきつける路上
うつぶせになり性器を突き出す。
怪しく揺れるライトと
繰り返される淫語のシャウト
路上での全裸とその体位
再びたっぷりと舐めあげてから
背後から突っ込む。
くびをひねらせてキスをしながら昇天させる。
そして間をおかずに正上位に。
アスファルトがざらつく路上全裸性交
正常位ではなく異常位だったが…
重なる顔のすぐそばに排水溝が口を開け
川と化した道路から流れ込む水が
ごぼごぼと音を立てて吸い込まれてゆく。
そんな嵐の路上で転がりながらの全裸性交
かなりいろいろなセックスをしてきた
こちらにとっても
まず、ない経験ではあった。
背中に痛いくらいに雨を浴び
肩口にかみつかれながら
かなり耐えてきた射精の瞬間をついに迎えた。
「来て。来て。」
「かけてえ。そう。そう。」
「びくん。びくん。ってえ。」
おまんこにかけてええ。」
「イク。イク。イク。イクうう。」
完全に同期して果てた。
女同様、男も自らを失ったのだった。

埠頭でのプロセスを思い出すとこうだった。
もし第3者の眼で見たら
半端な映画をはるかに凌駕する
映像が得られたに違いなかった。
この後、身体を洗うためにホテルに入った。
洗うだけのつもりだけだったのが
結局、浴室でシャワーを浴びて嵐の再来を真似てみた。
その声が隣室に聞こえて
隣のカップルとの間で声だけのよがりあいが続き
またも射精してしまった。

明け方の車。
杉並のほうに車を走らせながら
助手席で眠り込む、
この一見いまどきのOLが
垣間見せた狂気の性。
皮肉にも彼女が手配した航空券で
しばし、日本を後にすることになる。
またこちらが日本にいるときに
たまたま嵐が来れば話しが別だが
そうはなかなかいくまい。
家が近づくと眼を覚ます。
「ここで。」とかけられた声は
乾いても、湿ってもいなかった。
その後、突然しがみついてきて
ねっとりと舌を差し込んできた。
だがそのキス
「これで終わり。ただ、嵐のせいだったのよ。」
と言っているように聞こえた…

車を出しながら、女の性の深さを思う。
まいどの感情だが、その不思議な領域には
男はとても入り込むことができまい。

「記念に」とうばいとったTバック
まだポケットの中で湿っていた。

(この項終わり)

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