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趣味は読書、閉じて

2016年01月07日 00:31

池波正太郎が好きで、新潮文庫文春文庫角川文庫の分冊になっていない長編は全て読み、エッセイ新潮文庫文春文庫のは全て読んだ。
しかし、年齢のせいでほとんど忘れてしまい、今「鬼平」を読み返している。呆れるほど忘れていて、ショックというより、かえって面白い
池波はエッセイ小説の中で、幾つかの名言を繰り返すのだが、その中に「人は悪いことをしながら良いことをし、良いことをしながら悪いことをする」というのがあり、その通りだと思う。
芥川の「蜘蛛の糸」という作品では、地獄に落ちた悪人が、現世で一度蟻を救ったという善行のおかげで、極楽へ抜け出すチャンスを得るが、自分の利己心のために、地獄に戻ってしまう。穿った見方をすれば、お釈迦様だったら、悪人が再び地獄に落ちることは予見していたはずだと思うのだが。
ともあれ、極悪人でも、良いこともするということか。
それともう一つ池波がよく言うのは、「人は生まれた瞬間から死に向かって歩いている」ということ。
僕も正月休みが終わったばかりだが、アッと言う間に一年が経ってしまった。
このままだと、気づいたら死の直前などということになりそうである。
もう、出来るだけ無駄な動きは省いて、閉じた世界で生きていこう。

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