決心

最後の一線の
ギリギリ手前まで彼との関係が進んだところで

私は寸止めした。


さすがにそこまでは
踏み込んではいけないと思ったし

そもそも
それが私の信念でもあった。



でも

あれから
彼からの連絡が途切れるようになった。



今までは

１週間に1-2回はメールが来ていて

返信したら
即レスで返ってきて

１度メールが始まると
暫くやりとりが続いていた。


だけど


あの寸止めした夜以降


メールしてもなかなか返って来なかったり

メールを1-2往復しただけで返信無しで終わったり。。


とにかく
今までの頻度と全く変わった。


彼の仕事の状況はだいたい分かるので
仕事で忙しいだけな気もしたけど…



それから私は

彼のことが気になって気になって
頭から離れないようになってしまった。



なんで連絡が返って来ないんだろう

もう私に飽きたのかな

土壇場で最後の一線を拒んだから
もう私は要らないのかな

やっぱり体だけが
目当てだったのかな…



仕事中も
家に居る時も
旦那の前でさえ

彼のことが頭から離れなくて
目の前のことに手が付けられなくなった。




この状態はマズイ。

こんな状態では
隠すものも隠し通せなくなる。


ハッキリしないものにモヤモヤして
他に何も考えられなくなるくらいなら


いっそ


秘密を共有することに
徹した方がいいんじゃないか…



そんな考え方が
私の頭の中に浮かぶようになっていた。




私は頭でモヤモヤ考えることが
苦しすぎてピークに達した頃

彼にメールを送った。



『また会いたいんですけど、もうダメですか…？』

「なんで？どうした？？」

『もう会ってくれないんじゃないかと思って…』

「なんでそうなるの？！
そんなことないよーー！！！」


と力強い口調で返事が来た。



ほっとした自分が居た。



彼はまだ私に会う気があった

それだけで安心感と嬉しさが込み上げてきた。



そして

数日後のお互い休日の昼間に
会う約束をした。




私はおおかた
最後の一線を越える覚悟をした。


だけど私の中で

一回SEXしただけで捨てられたり

ただの性欲処理としか思われてなかったり

そんな関係性は嫌だった。



不倫なりにも
ちゃんと心も彼と繋がりたかった。



そうでないと
私がまたモヤモヤ悩みを抱えるのは
目に見えていたし

一線を越えたら
私の気持ちがますます強くなることは

今までの経験上からも
自分で分かりきっていた。



だから
一線を越える前に
きちんと話し合うか

彼の態度で判断しようと思った。




ー当日。


正午に職場の近くで彼と落ち合った。


素早く車に乗り挨拶を交わす。



「もうお昼ごはん食べた？」

『いえ、食べてないです』

「じゃあどっか食べに行こうか」



そう言って
彼は車を走らせた。



良かった。
いきなりホテル直行だったら
どうしようかと思った。。


ミシュランの星を獲得したことがあるという
お店に連れていってくれた。


お店の近くの駐車場に車を停め

運転席からキスをしてきた。


こんな昼間に
彼とキスをするのは初めてで
恥ずかしくなった。



お店に入り
横並びの席に座った。



ご飯を待っている間

店内に知り合いが居ないことを確認した上で


私の手を握って
マッサージするようなしぐさをしたり

テーブルの下でずっと手を繋いでいた。


その状態で
お互いのことを話したり
仕事の話をしたりするのが

とても心地よかった。


車の中とはいえ
外でしかもお昼間にキスをしてきたり

知り合いが居ないにしても
お店で手を繋いできたり…


嬉しかったけど
彼自身も結婚してるのに
ここまでしてくる彼に驚いた。


そして
その一つ一つに愛情を感じた。


少なくとも

私はどうでもいい存在で
とりあえず体目当てだけで近付いている

そうゆうわけではないことは分かった。



さらに彼は


「土曜日だったら割と時間作れるから
ちぇなも土曜日空いてる時は教えて？」


と私に言った。


それは
この関係の継続性を意味していた。


とにかく私は
1回きりで終わるような関係は嫌だった。


それこそ
一線を越えたことを後悔してしまう。



彼のこれまでの
スキンシップに愛情を感じ


最後に
彼のその言葉を聞いて


私は決心を固めた。




食事を終え

再び駐車場でキスを交わし

車を走らせた。



車は

隣町のラブホテルに到着した。






続く！！