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睡眠負債 後編

2014年01月05日 01:48

睡眠負債 転1
目が覚めるとそこは3月の受験後の自分の部屋だった。
下の階から家族の声が聞こえる。
「優…」
サルは急いで下のリビングへ降りる。
「生きてたのか優」
サルは優の肩を抱いて喜ぶ。
そして走っていって老人がいた高架橋の下
にいくとそこには何もなかった。
あーはっは、なんだ夢か。
はは、夢だったんだははは。
サルは家に帰ると優から言われる
「で約束どうすんの?」
「約束?」「医学部受からなかったらでていくんだろ?」
「嘘だ、おれは医学部合格して」
ほら、これといってはがきが一枚。
はがきには不合格という文字。

「嘘だ…こんなの夢だ、夢を見てるんだ早く起きなきゃ」
「夢じゃないよ現実だよ、兄貴
母親は「まあいいじゃない、ケーキせっかくだから食べましょう」
テーブルの上に置いてあったケーキの傍らに
ある包丁を手に取ったマサルはそれを自分に突き刺した。
母親と弟は叫ぶ
「マサル!」「兄貴!」
睡眠負債 転2
目が覚めると牢屋の中にいた。
「ここは?」
鏡を覗くとあの老人の顔が
この顔は…
すると牢屋アナウンスが聞こえる
「おはよう、高木勝あなたはひき逃げの罪で
警官に追われた後、車にひかれ四十年間ここで
眠り続けていた。」
「夢だ、これは夢だ…」
「夢ではないこれは現実だ」

勝は来ていた服をベット
手すりにひっかけて首をつる
「まずい!やめろ!やめなさい!」
睡眠負債 転3
はっと目が覚めると。
そこは優の部屋であった。
隣の部屋から笑い声が聞こえる。
勝が自分の部屋をのぞく
そこには自分の姿が見える。

もう一人の自分は机の上に足を乗せて
携帯電話をいじっている。

「そうだよ、おまえが医学部なんざ受かるわけ
ないよなぁ、なあ勝…」
といって不気味な笑顔で振り向くもう一人の
自分。

「ああ、この世界は夢だ、全部俺の作り出した夢だ。
なんでこうなったか知ってるだろおまえ。」
「し、しらない」
「しらばっくれるな!おまえは、4月のあの日
この部屋で首をくくったのはてめーだろうが!」
不気味な笑みをたたえた勝は
もう一人の勝の首に手をかけてきた。
死ねよおまえ、俺はおまえが一番嫌いなんだよ。
弱いくせに見栄ばっかりでかくてよ!」
「夢だ、これは夢だ」
「いい加減、自分が負けたってうけいれろこの屑!」
勝は相手をはねのけて外へ出た。

道の先に優の後ろ姿が見える
「優…!優!悪かった俺が悪かったよだから元に戻してくれ」
優は笑顔で振り返る
そこへ車がつっこむ。
車に乗っていたのは勝自身である。
「ははははは。ばあーかばーかばーかははっはは。」
車の下から大量の血がでてくる。

睡眠負債 結
雪が降る夜3月

「かんぱーい」

優と父と母が机に座っている

「優、医学部合格おめでとう」
「お前は私たちの自慢の息子だよ」
「ありがとう。お父さん、お母さん。いつか
恩返しできるようにがんばるよ。」

どさっ(上の階でなにか落ちた音)

優が二階に上り扉を開ける
そこは元々兄の勝の部屋であるが
今は物置部屋になっている。

そこには箱が一つ。
それは優が勝に送った腕時計である。
「こんな時計あったかな?」
下の階から母親の呼ぶ声がする。
「あーうん、なんか時計の箱、これもらってもいい?」
ばたんと扉を閉じる音。

家族三人が仲良く話している
優は時計をはめてうれしそう。

勝の回想
この家族で一番不要だったのは
まぎれもない、俺だった。
認めたくない自分、認めたくない現実
そこから逃げ出した俺に残された世界
さめない夢の中でこの結末に
ようやくたどりついた

動いていた時計
秒針をとめた。

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