恋と愛

その違いはなにか、世の人間たちによってもう飽き飽きするほど繰り返し続けられてきたこの問いは、
個人の情報不足と思慮不足、自己満足という陶酔を起こしやすい性質故に、
どのような人間でも思いつくような、それでいて手垢まみれな結論に至る場合が多く見られる。

そんな中でも関心したのは辻仁成氏のこの意見。
「一瞬が永遠になるものが恋、永遠が一瞬になるものが愛。」

当時幼かった僕は子供ながらになるほどなと感じた。感情移入しやすく、
道端のおばさんにもすぐに惚れてしまうような僕は長い長い青春を送ってきたわけである。

だがいつしか感動は薄れ、何事にも猜疑心を抱くようになってしまった僕は
本質を見ろという強迫観念から、この言葉の真意を蔑ろにし、次のような言葉を考えた。
「恋は幻想、愛は妄想」
無論、僕は世の中の人間たちに属している。