海の上を教えてくれた...

Lavender...

行く所もなく
沈みかけていた
夏の日に...

誘われて
思い通りに生きてきた
人のクルーザー

港から
つかず離れず
随いて来た
小煩い鳥達の...

舳先をかすめ、
マストを横切り、
嘲笑かの様に
翼を翻して...

風に乗り、
一人波乗りを
楽しむ様に見せつけて
風の吹くまま、
流れのままに...

風を受け、
風を切り、
翻して喫水深く
波間を滑り...

順光の海、
眼路はるかに...
霞む水平線に
遮るものもなく、

振り返れば、
後にして来た
岬にへばりつき
崖へ登る街並み、
神社の石段...
松林...

海の上を
教えてくれた...
Lavender

横波を受けて、
激しく、
外の海へ出て
風も切れ...

どんな船にも、
車にも着いている
スタビライザー
になれたら
いいね...

梶はとれなくとも、
思い
通りにはならなくとも、
どんな船にも着いている
スタビライザでいい...

錆びついた
railの手摺りに
もたれて、
潮風を浴び
海の遠くを見つめながら

つかず離れず
随いて来た...
鳥達もいつしか
一つ、二つ消えてゆき、
船を離れ、

外の海、
Lavenderに染まろうと
する海...

海の上を
教えてくれようとした
Lavender...