ハゲと貧乳

　タイトルの両者に共通しているのは、「いずれも決して本人に責任があるわけではない」にも関わらず「重大なコンプレックスとなり得る」、しかし「誤魔化す手段が比較的手軽な範囲にある」ため「しばしばニセモノによって代用されたりする」という事実です。
　しかし女性の胸は、そりゃダイレクトに本人の評価に繋がる（何を言っても多くの男性は、綺麗な女・胸の大きい女に優しい）のでまだ分からないでもないですが、不思議なのは男性のハゲなのでございます。男性は女性と比べて「外見が評価される比率」が非常に低くなってもいますし、だいたい髪の多少はそれほど重要なことなのでしょうか？
　私に言わせれば、ハゲは決して見苦しいものではないと思うのです。ただ残った髪を伸ばしてみたり、それを整髪料を使ってあり得ない方向に引っ張ってみたり、ハゲを隠そうといういじましい努力が見苦しい結果に繋がってしまう。それだけのことです。

　というのもここ数年、近所のおじ様の頭が徐々に薄くなってきていることには気付いていたのですが、なんと今日、その方が髪の毛を刈り込んでおられまして。
　そうか、自分がハゲであることを認知し、残された髪の毛で作れる最も素敵な髪型へと乗り換えたんだなぁ……　お世辞抜きに褒めたくなる格好よさでしたよ。
　そりゃ銀髪がフサフサなジェントルマンに憧れる気持ちは分かるけれども、禿頭にして威厳を演出するという選択肢だってあるじゃないか！とハゲに悩む男性に語り掛けたい私なのであります。
　ただしハゲを隠そうと髪を伸ばすような男性が、髪を剃っただけでそれに見合う貫禄がつくかどうかと言えば、それは大いに疑問の余地が残るところですが。

　そういう意味では、女性の貧乳はハゲと比べれば深刻でない悩みなのかも知れません。今時のファッションって、実は胸のないスレンダー体格の方が似合うような服、多いしね。ヒラヒラふわふわ、でも直線的なところはストンと落としてあるから、胸のある人が着ると太って見えたりするの（ゆえに、「太ってるけどそれ以上に胸がある人」なんかは結構得してる気もする）。

　万一カツラを使うなら、その時は銭を惜しんじゃいけねぇ。矢面に立たされた某建築士みたく、安いヅラはすぐにバレるんだよ。女性の整形や豊胸手術に関しては言わずもがな、一生付き合う自分の体なんだから、積むなら何万でも積む覚悟で行きな！というのが私の考えです。
　しかし、うーむ、女に生まれたからには一度くらい、巨乳と呼ばれてみたい気もするんだよなぁ……はかない望みだけどさ。