たった今、彼女が帰った

昨日の夕方から、彼女とデート。

３日くらい逢ってないだけで

寂しいと言っていた。

大阪の某イタリアンで食事して、帰りの高速で

ちょっと寄り道して、某展望台へ。

カップルがちらほら、キスしている人たちや

甘く囁きあっている人たち。

そこに混じって、僕が彼女の手を握った。

ガラスの向こうは、宝箱をひっくり返したような無数の光が輝いて、空には飛行機の灯り。

しっかりオシャレした彼女は、

「本当に好きになっていってるよ。捨てられるのが、怖い」

結婚に失敗した彼女ならではの愛情の言葉に嘘はないと思った。

「大丈夫だよ。」と言って、彼女にプレゼントを渡した。

それは、そんなに高価じゃないけど、一生懸命選んだ、ハミルトンの腕時計。

それをBABY G しかつけた事のないという細い腕に付けてあげた。

彼女は顔を上げないで、「早く帰ろう・・・」と言った。

「なんで？」
「時計の針が進むと帰る時間になっちゃうから、はやく、部屋に行こう」

それからは、無言のまま車を走らせた。

手をつないだまま。