あこがれ67　１１月７日

今日は１１月７日水曜日。
そうです、早苗の３４回目の誕生日で、こちらから掛けなくてもやはり掛かって来ました。
「ご機嫌いかが。　さて今日は何の日でしょう？」
「誕生日おめでとう」
「覚えていて貰ったとは光栄だわ。　それで、覚えていただけ？」
「今夜泊まれる？」
「うわー、素敵・・・勿論」
「ロイヤル・パークのアスコット、７時」

１５分前に席に着き待っています。
今日は何も飲まずに。
１０分遅れで入って来るその、ドレス。
身体にフィットし過ぎだ、早苗め。
胸は大きくカットされ、豊満さを際立たせています。
そんなにしなくても充分大きいのは、分かるぞ。
ウェストは中で、縛っていんじゃないのか。
これ見よがしのその尻、全く垂れていないツンと上を向く尻。

一目で分かるシャネルから出た、その何と見事な脚。
そんな細くて長いヒールで、よくつまずかないものだ。
上に戻ると完璧にセットされた、その髪。
今夜のメイクは厭らしさの極みで、こんないい女が、私の恋人？
信じられなくなりかけた刹那、

「誕生日、おめでとう」
深紅のバラ一本と一緒に、プレゼントの真っ赤な箱を渡します。
「おりがとう」
「お祝い、家でしなかったの？」
「勿論したわ。　お昼に」　そうでしょうとも。
１時間半で　「ル・シエール」　へ。
歩いている間、高価なバックよりプレゼントとバラを大事そうに胸に抱いています。
そのバックの一割にも満たない値段なのに。
フルコースのデザートが終わった丁度その時、照明が少し落ちバックの曲はハッピーバースデイが流れ、同時にケーキが現れます。
「願い事をして、一気に消す」
ふー、との音で消えました。
「ありがとう。　ここはこんな事、して貰えないのに」
と、頬にキス。

ここに限らず、有名なホテルの殆どは親父が大株主。
儲けの多くがそれに費やされているのを、母も兄さえも誰も知らない。
１０年前から毎年定額で、その株が私の名義に変わっています。
そんな訳で私も大株主なのです。
帝国やオータニ、オークラ、マンダリンに限らず、直ぐ挨拶に来るのは至極当然なのです。

今夜だけは部屋まで、優雅にエスコートしました。
「プレゼント開けるね」
カードには　「麗しい早苗に愛を込めて」
当然、永遠、は入れません。
「うわっ、セクシー」
黒のブラジャーとパンティ、定番商品。
「脱がして、今着けるから」
すっ裸にすると前屈みになってブラジャーを着け、次はパンティ。
「素晴らしいし、よく似合って超セクシー」


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