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求めない想い・・・その5

2018年08月11日 19:14

求めない想い・・・その5

今夜はお久しぶりに「愛して欲しいと言えたなら」から

求めない想い・・・その5

を、アップしてみるわね^^


求めない想い・・・その5

夏樹は直美の問いかけにすぐには答えないで手に持っている缶コーヒーのフタを開ける

「あんた缶コーヒーとかって飲むの?」

「えっ?私ですか?たま~にスーパーで安く売ってるのを買うくらいですよ」

「ふ~ん・・・」

「あの・・・ふ~んって・・・」

「あんたってホント可愛いわね、そういうとこって好きよ」

「えっ・・・?」・・・夏樹の言葉に少しドキッとしてしまう直美

「あんたの話し方も好き、それにあんたがおバカなところなんてあたしの好みそのものよ」

「いや・・・あのですね・・・」

「あはは^^で、どうしたの?」

「あ・・・あれ?えっと・・・」

「あら?忘れちゃったの?」

「えへへ・・・なんか忘れちゃったみたいです、やっぱり私っておバカみたい」

おバカってね、言い換えれば純粋っていうのよ、疑う前に信じちゃうあんたみたいにね」

「えっ・・・いや~まあ~・・・なんとも・・・はあ」

「あはは、それじゃ思い出したらあたしの家にでもいらっしゃい」

「はあ・・・」

「あんたさ、京子未来に何を感じたの?」

「えっ・・・あっ、あああ===っ」

「ふふっ・・・それじゃね」

「えっ・・・あっ・・・」・・・すでに直美の声が通話が終わったスマホの中で迷子になっていた

待ち受け画面に戻っているスマホを眺めるとため息をつきながら上目使いで窓の外を見る直美には
京子の事で電話をした事よりも今さっき自分が夏樹と電話で話をした事の方が信じられないでいた

おバカは純粋、う~ん・・・言葉を変えればそれは無知になるんでないかい?
な~んて言ってはみてもおバカな私にはやっぱり分からないんだわん・・・わん?

何が嬉しいのか?直美は一人微笑み模様でいつも車に積んである38円の缶コーヒーを取り出すと
今度は取り出した缶コーヒーを両手の上に乗せて話しかけた、もちろん両手の上に乗せた缶コーヒーにである

「夏樹さんがね、あなたの事が好きなんだって・・・ふふっ、よかったね」

それでは私が飲んで差し上げましょう!と、缶コーヒーのフタを開けて一口飲んではまた一人微笑み模様

でも、夏樹さんっていつもさっきみたいに話すのかしら?
やっぱり京子と話す時と雪子さんと話す時では違うんだろうな?
という事はよ、という事はもしかして裕子さんと話す時もやっぱり違うのかしら?

なるほどなるほどな・・・
京子が夏樹さんを毛嫌いする理由の中には夏樹さんが雪子さんと話す時に
どんな顔でどんな表情でどんな言葉で・・・って、考えちゃうのも入ってるわねきっと

でも、そんな夏樹さんの声は雪子さんにしか聞こえていない
そして、その声は雪子さんだけのもの・・・
夏樹さんの息遣いも夏樹さんの肌の香りも夏樹さんの優しい視線も全部雪子さんだけのもの

京子の知らない夏樹さんを雪子さんにだけ見せている
そんな夏樹さんがきっと京子には我慢が出来ないのかもしれないわね

私なんて最初から相手にされないって分かるから別に何とも思わないけど
京子の場合、夏樹さんの妻だったんだからよけいよね

初めから相手にされない私と夏樹さんに愛されていた京子では悔しさの度合いが違うんだろうし
初めから振り向いてもらえない私と振り向いてもらえる距離にいたはずの京子
もう二度と振り向いてはもらえない京子立ち位置と私とじゃ天と地くらいの違いなんだろうな

な~んてね・・・でも、やっぱ気になるわ
夏樹さんって雪子さんといる時はどんな夏樹さんなのかしらって考えちゃうんだわ

相変わらず一人微笑み模様の中にいる直美は缶コーヒーをホルダーに置くと
遠い昔いつか忘れてきた優しく和らかな温もりを感じながら家路へと車を走らせていく

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