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求めない願い・・・その16

2018年04月14日 22:54

求めない願い・・・その16

今日は「愛して欲しいと言えたなら」の小説のけっこう先の先のページを載せてみるわね

今は「求めない願い」の章が終わって「生きている矛盾」の章に入ったところなの

なので今日載せる「求めない願い・・・その16」はけっこう最近書いたページなのだじょ^^

ちなみにこの小説は「パブー」さんで読めるですよ^^


求めない願い・・・その16

まるで時間が止まったかのようにテーブルの上に置かれたスマホの画面を見つめている京子
そんな京子を視線の外れに残したまま窓の外の景色を眺めながらココアを飲む直美

どれくらいの時間が過ぎただろうか?
おそらくほんの数分くらいなのだろうか京子にとってはとても長く感じられたのかもしれない

少し冷めかけたコーヒーを飲みながら何かを言いかけた京子だったが
すぐに手に持ったカップのコーヒーを飲みながら言いかけの言葉がため息に変わった
そんな京子に直美が呟くように言葉を口にした

「夏樹さん・・・もういないよ」

「あの人ここに来てたの?」

「すれ違わなかったの?」

「あの人の車とはすれ違わなかったわよ、知らない車とすれ違ったけど・・・」

「それ夏樹さんよ」

「あの人?違うわよ、あの人の車じゃなかったわよ」

「白っぽい大きな車でしょ?」

「そうよ、でも確かあの人の車は4WDの大きな車でしょ?」

京子がすれ違った白い車は夏樹さんよ」

「でも、運転してたのは女性だったわよ・・・あっ・・・」

「そっ・・・夏樹さん」

ここに来るまで昔の記憶を思い出しながら走っていた京子の中にいたのは
女装をしている夏樹ではなく昔の男性としての夏樹の方だったのだろう
それでもすれ違った車が京子の知っている大きな4WD車だったなら気がついたかもしれないが
白い普通車で運転席にいるのが女性となれば気がつかないのも無理はない

「あの人、車を変えたの?」

京子の問いかけに答えないで笑みを浮かべながらココアを飲む直美

「何・・・?」

「別に何でもないけど・・・」

「あの人が何か言ってたんでしょ?」

「何かって?京子悪口とかって?」

「やっぱりね・・・」

「ふふっ・・・」・・・また笑みを浮かべてココアを飲む直美

「何?さっきから変な笑みなんか浮かべて?」

「だって、京子ったらさっきから夏樹さんの事ばっかり」

「何変な事を言ってるの?私は別に・・・」

「別に・・・な~に?」

「何って・・・別に・・・」

京子ったら夏樹さんの事ばっかりで私がどうやってここに来たのかとかって訊かないんだもの」

「どうやってって・・・何?もしかしてあの人と一緒だったの?」

「ほらまた・・・普通なら一緒だったの?ではなくて、送られてきたの?だと思うんだけどな」

「そんなのどっちでも一緒でしょ?」

「ねえ、京子・・・?」

「何・・・?まだ何かあるの?」

「もういいんじゃない?」

「何が・・・?」

「夏樹さんの事・・・もう許してあげても」

「えっ?・・・別に誰もそんな風になんて言ってないでしょ?」

「それにね、夏樹さん、もうあの家にもいないよ」

直美の最後のひと言に京子は背中から首筋にかけて寒気が走っていくのを感じた
寒気を感じるのは何も風邪の引きはじめや怖いという恐怖を感じる時だけではない

いつか来るかもしれない、薄々それが分かっていながらもそうであって欲しくない
僅かな希望でも心のどこかで願っている自分に突然医師から余命宣告を告げられた瞬間のように
京子の脳裏を何もかもが無慈悲な現実の世界へと引き戻されていく寒気が走り抜けていった

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