趣味は読書、二十歳の原点

僕も、辞めてしまったが、大学に通っていたことがある。
僕の学生時代には、学生運動は下火になっていて、もっぱら遊びに行くようなものだった。
同じ二十歳として、著者と僕を比べると、いかにも自分のが幼い気がする。
社会に対する問題意識など、全く持っていなかった。
僕の勝手な持論だが、日本人の寿命が伸びているので、同じ精神活動をかつては、50年でやっていたのを今は80年でやっているのだから、昔の人より、精神が幼いのは仕方ないのだ。
「二十歳の原点」は、NHKの番組で話題になったが、僕はたまたまブックオフで、「二十歳の原点序章」を見つけ、そちらを先に読んでから、この本を読んだ。
学生運動、サークル、恋愛、そして、それらと相容れない孤独感と違和感。
自らの指を傷つけて、死を思う姿に、後の悲しい結末を予感させる。
口絵の写真で見ると、綺麗な女性が、自ら命を絶つとは。
死にたいとは思うことと、死ぬのは、当たり前だが、まるで違う。
一つの悲しき事例として、この作品を受けとめたい。
「二十歳の原点ノート」が新潮文庫で出ていた筈なので、ブックオフか古本屋を捜して読みたいと思う。