デジカフェはJavaScriptを使用しています。

JavaScriptを有効にすると、デジカフェをより快適にご利用できます。
ブラウザの設定でJavaScriptを有効にしてからご利用ください。

角のある子馬

2016年05月31日 08:55

角のある子馬

昔、日立の国に野々平(のんのんだいら)という小さな山間の村があり、村はずれの丘の上に伊平衛(いへい)という男が一頭の雌馬を飼っていた。

この雌馬、ある日子馬を産んだのだが、なんとその子馬の頭には角が二本生えていた。この子馬を見た村の衆は、たいそう気味悪がり、伊平衛に子馬を始末するように言った。しかし伊平衛は、とても子馬を始末することなど出来なかった。

その後、母馬は産後肥立ちが悪く死んでしまったが、子馬をすくすくと育ち、伊平衛はこの子馬をアオと名付けた。ところがある日、村人がアオを余計に気味悪く思う事件が起きた。アオは山の椎の木の大木に一人で登り、その上で休んでいたのだ。

さらに悪いことには、ある夜村から逃げ出した一頭の馬が畑の作物を荒らし、村人はこれをアオの仕業と決めつけたのだ。村人は伊平衛の家に押しかけて、子馬を始末するか、村から出て行くか二つに一つを伊平衛に迫った。

村人から責め立てられて耐えきれなくなった伊平衛は、泣く泣くアオを縛って花貫川(はなぬきがわ)の淵へと沈めた。

すると、どうだろう。それから何日かして、村を落雷暴風雨が襲った。そして最後には山崩れが起き、村を全部土砂の下に埋めてしまったのだ。山崩れの後、一人丘の上に立つ伊平衛の耳にはアオの鳴き声が聞こえた。そしてその声は、「畑を荒らしたのは俺じゃねえ。」と言っているように聞こえたという。

今でも耳を澄ますと、子馬の悲しげな声が花貫川から聞こえてくるという話だ。

このデジログへのコメント

  • ぶるぐ 2016年05月31日 20:03

    これは可哀想なお話だね

  • イッシー2 2016年06月04日 20:54

    悲しいのは、復讐さえ絶対しない、人の愛です‥

  • oldradical 2016年08月18日 19:28

    君のHNは子馬アオからとったのかな?
    今日午後の雷と大雨の氾濫でリアルな話として読んだ。

コメントを書く

同じ趣味の友達を探そう♪

  • 新規会員登録(無料)

プロフィール

あおい

  • メールを送信する

あおいさんの最近のデジログ

<2016年05月>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31