七夕

「笹の葉さらさらー♪」
…
近所の小学生達が歌っています。この歌を聞くと、小2の頃、両親と笹の船を作って川で流して遊んだのを思い出します。多分それが父と遊んだ唯一の思いでです。すぐあとに父と母は離婚をしました。

「笹の葉さらさらー♪」
僕が歌っている間に笹の船はどんどん流れてしまって、やがて消えてなくなりました。

あの笹の船はどこに流れていったのでしょう？
どうして流れていってしまったのでしょう？

父はよく僕に暴力を振るいました。だから父のことは思い出したくありません。…というかあまり覚えていません。でも笹の船を流した時のことは鮮明に蘇ります。楽しかったからというわけではなく、笹の葉の手触りや川を流れて消えていく笹の船に切なさを感じたのでしょう。

もし願いが叶うならば、もう一度あの時に戻って、笹の船を流したい。