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届かない願い・・・その10

2013年06月20日 01:44

届かない願い・・・その10

「直也・・・私に会いに来てくれてありがとう・・・

奈保子の手紙の最初の文面である・・・。
奈保子の姉上と別れる時に僕は自分の名刺を渡してきた
これで最後・・・そうは思っても奈保子と繋がっていたかったのかもしれない
昔から姉上は僕と奈保子のあいだを取り持ってくれていた
どんなに遅い時間に僕が奈保子に電話をしても姉上は快く僕の電話の相手をしてくれた
そして今日も・・・姉上は奈保子の思いを僕に伝えてくれた・・・。

僕は春になって暖かくなったら一緒に奈保子の墓参りに行きませんか?と伝えると
「必ずよ!待ってるから」と、姉上はとても嬉しそうに答えてくれた。
奈保子の思いが分かるだけに姉上はたくさんの奈保子の思いを僕に伝えたいのかもしれない
奈保子と僕がまだ友達だった20歳の頃の奈保子の思い・・・
僕と会う事をやめてもう一度やり直したと彼氏の住む街へ行った頃の奈保子の思い・・・
彼氏離婚して自分の生まれた実家に戻ってきた奈保子の思い・・・
自分が病気だという事を知った奈保子・・・
自分の人生の余命を伝えたれた奈保子・・・
そして死の間際になって僕に会いたいと願った奈保子の心の声・・・
その全てを知っている姉上はそんな奈保子の思いを僕に伝えたいと言ってくれた・・・。

僕は春になったらまた会いに来るから
その時は奈保子の墓参りをしながら姉上とゆっくりと話が出来るように時間を作ってくるから・・・と。

僕は由香の所へ戻る前に一樹と和也が働いているショッピングモールによる事にした。
考えてみると僕は一度も一樹たちの働いてるショッピングモールに行った事がないのである。
いや・・・由香の住んでいる街に来るようになってから一度だけ立ち寄った事がある。
僕は懐かしい街の景色を眺めながらモールへと車を走らせた。
いつもは高速を降りて真っ直ぐに目的地へ車を走らせていたので
街の中に入ることもなく街の外側を走るバイパスしか走っていなかったので
今日は駅の方をひと回りしてみようと思ったのだ。

久しぶりに見る駅は昔と少しも変わりなく左側にタクシー乗り場
そして右側の中央にはバス停が並んでいる。
駅から少し離れたところにいくつかビルが立ち並んでいるのだが
駅の正面から見て中央に続く道路から右側に並ぶビルの3件目の2階
今も変わらず美容院が営業してるのが見えた。
奈保子が理美容を卒業してから勤めていた美容院である。

僕が奈保子を迎えに来るときはいつもその美容院から見えるように美容院の真下に車を止めた。
これは奈保子からの要望だったのだが・・・
美容院という仕事をしていると色々なお客さんがいるらしく
コーヒーだけでもという感じで誘われたりデートに誘われたり
客の中には終わるまで待っているからと店に居座られたりと色々とあるみたいで
彼氏が迎えに来るから」と断るためにわざと店から見えるところに車を止めて欲しいと言われたのである。

だが奈保子が一番断りたかったのは店に来るお客さんではなく店のオーナーだったようである。
仕事柄なのかどうなのかは知らないがここの美容院のオーナーは新しい子をいつも誘っていたらしいのだ
そんな中、オーナーが一度だけ僕の姿を目撃したらしいのである。
いつもは迎えに来るときは暗くなった時間帯だったので車の中の僕までは見れなかったみたいなのだが
一度だけ奈保子と一緒に階段を降りてきた事があった。
あとから聞いたらオーナーが僕を見たかったらしいのだが・・・
その次の日からオーナーが奈保子を誘うことはなかったようである。

奈保子の働いていた美容院のあるビルの横を通り過ぎて街を抜けるといつものバイパスに出た。
やっぱりこっちは南である。
2月で雪があるとはいっても車で走るのには何の支障もない程度の雪で
雪の中を走るというよりも雪の景色を楽しみながら走ると言った方が正解だろう。

ショッピングモールに着くと僕はある場所を探して駐車場の中を車を走らせた。
そしてそのある場所を見つけてそこのスペースに車を止めた。
寒く冷たい夜・・・美雪が僕を刺した場所である。

奈保子からの手紙をバッグの中に入れて僕は車を降りた・・・。
鑑賞に浸る時間など僕には残されていないのかもしれないが
それでも今だけは少しだけ鑑賞に浸ってみたいと思った・・・。

「いつか生まれ変わる事があるのなら、その時はまた直也に会いに行ってもいい・・・?」

奈保子の手紙の最後の文字である・・・。

このデジログへのコメント

  • 白虎ゆかり 2013年06月20日 23:46

    時間の流れって、止まらないからね

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