メタルで悪魔祓い

この１週間はきつかった。

まあ、死にたいだの、自分がどんなクソ野郎だのの考えは浮かんでくるけど、それは持病のうつ病の症状によるものだって解ってるから、怖くはなかったけどね。

でも、そんな考えが浮かんでくるわ、訳もなく泣きたくなるわ、体に力入らないわ、という状態はかなりウザい。

まるで地獄の扉が開いて、魔物がどかどか出てきちゃったかのように、過去のトラウマにさらされた状態になってたのにはどうにかしてくれと思った。

まあ、お祈りもしましたよ。（僕は祈りってのは無意識－人間の精神の奥深い部分との対話であり、意味があるものだと思ってます。）瞑想もしたし、様々なリラクゼーション技法も試したけど、どうも効果がない。

しゃあない、昨日は入ってきたオーダーの納期を延期してもらって、学校休んで、1日寝てすごすことにした。

ちょっとよくなった。

で、夜起きて、納期が延長できなかったオーダーの仕上げをしているうちに、タイのメタルバンド、レトロスペクト(Retrospect)の名曲、「君がいない」（ไม่มีเธอ Mai mee ter）のMV（あ、日本ではPVって言うの？）が、僕が鬱になった時の心象風景に似てるななどと思い出して、Youtubeで探してみた。

http://youtu.be/sliitz3PSHI

灰色の画面、砂漠、うんざりとした気分にさせるような、どこまでもどこまでも続く一本道、ボーカルの動きのぎこちなさ…

それに、獣のようなシャウトと、単調なベースのビートが加わって、鬱んなった時の僕のいる世界そっくりになる。（男の鬱って、女性のと違って怒りとして表現されることが多い。男性が訳もなく、イライラしてたり、怒ったりしている時って、鬱状態なのかも知れません。）

こんな時に下手に外出したりすると、まーたく萌えないケバ系のねーちゃんに「なに、このおっさん。ヤダ」って顔されて、余計にヤんなっちゃう。（機嫌がいい時だと、自分好みのおねーさんがにっこりしてくれたりして、この世っていいな、って思っちゃって、ケバ系のねーちゃんなんて眼中にないんだけどね。）

で、「君がいない」はライブではハチャメチャに盛り上がるんだよな、と思い出した。再びサーチ。

Rise Now Concertが最初っから最後まで載ってた。2551年の。今年は2556年だから、5年前。彼らがメジャーブレークしたの頃のものだ。

http://youtu.be/vNe7naMpMiw

http://youtu.be/rGor8QCZDxU

このライブ、以前にDVDで見てよかったと思ったので、甘くさえ聞こえるボーカルと爆撃機のようなサウンドという不思議な組み合わせに2時間付き合った。ヘッドフォンつけてフルボリュームで聴きながら仕事した。

こりゃええわ。がちがちになってた体がほぐされていく。重かった気分が軽くなっていく…ふわふわした感じではなくて、しっかりと地面を踏みしめて立てる、重力にちゃんと立ち向かえるという感じ。

と、人によっては騒音以外の何ものでもない音楽に2時間、心と体をさらしたら、かなりよくなった。

まあ、休みも重要だったけど、僕は何かと戦う必要があったのかも知れない…メタルはもちろん、えらい攻撃的な、暴力的な音楽だもの。

そう言えば、世界各地の伝統的な魔よけの儀式って、えれーやかましいものが多いよね。太鼓打ち鳴らしたり、ひょうたん引っかいたり、奇声上げまくったり…

僕もそんな自分についた何かを、アホみたいな大音量のメタルで祓っちゃったのかも知れない。

そこで思ったのは、こういった制約の中での、ある意味で制度化された暴力とかバカ騒ぎって、元々は獣たる人類の精神のバランスのためには重要かも知れんなってこと…お行儀悪いけど、本当の暴力が爆発して、人をぶん殴りに行ったり、戦争やったりするよかずっとマシだよ。