軽トラックでしか、たどれない道. ..

真中に
草の生えている道を
踏み分けて...

田圃の間を
ゆうゆうと自転車で
通り過ぎてゆくおばさん

畔道の傍ら
流れの早い小川...
流れ下れば
何らかの名前のつく
川になるのだろう

里山の奥へ
分け入りエンジンの音も
高く登り坂...

木立の深い蔭
窓を掠め横腹を擦り
なでてゆく草、
木漏れ日のシダの葉

笠石の雫に
水を汲み
冷たい水に手を洗い

開けた山腹の
別天地、数枚の田は
猪除けのトタン波板張り
囲い...

流れの早い川
透き通る水は
光にきらめき

泥の堆...
掠めた魚の影を
認めたが...

川面に映る
帽子の影...
見られたか

草よもぎ
練りこんだ餌も
擬似餌にも既に食いつかず
岩魚にも
認められた
夏...

軽トラックでしか
たどれない
夏...