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全てこの世は事もなし (2)

2006年06月29日 17:00

もうそろそろこのタイトルで書いてから一ヵ月半が経とうかとしていて、又もや国会で議論が蒸し返された。 蒸し返されたというのは正確ではない。 新たに展開したというのが適切だろう。

いつもの如く夕食後の8時のニュースを見ているとオランダ国籍が無いはずの前国会議員国籍が数日前に戻っている。事の始めは何年もその筋には知られていたこの前議員のこの国に避難民として登録されていた名前、年齢が偽証であったことがテレビドキュメントで露になり、それは、当の本人がカメラの前で当時入国するには偽証をしなければ他に道が無かったとはっきり述べたことに対する、出入国移民担当大臣の先月の段階でオランダ国籍を持ちオランダ国会第二院(衆議院議員であった話題の当人の偽証の結果、IDが本人とは異なるとして本人を以前の地位、すなわち暫定的移民の地位に戻したことで、本人は即時に議員辞職、渡米して次のキャリアを始め、英米の有力紙がこの経緯を紹介して寛容であるはずのオランダ移民政策、その運用について批判的報道されたことなどで政府の国際的信用がゆさぶられたとし、これを回復させる意味と与党連立政権内、保守党の「コップの中の嵐」の力技で関係大臣の顔をつぶさないような政治決着の結果、年齢詐称はさておき人名詐称はあながち詐称ではなかったというようなアクロバット的な法的政治的処置が施され数日前に前議員オランダ国籍再所持ということとなったのだった。 そしてこれに対して野党から緊急の国会第二院(衆議院)議会召集の動議が出されニュースの半時間後にライブ国会中継があるということだった。

午後9時からテレビ国会中継があるというので別段面白い映画があるわけでもなく、サッカー世界選手権を眺める人々が多数であるのだろうけれど、我が家でもご婦人方は探偵映画やメロドラマがあるわけではないので他の雑事をし、息子はまたぞろ友達のところでサッカーを観戦するのに出かけたので、昼過ぎに起き出していた私はスタミナ充分、暇つぶし政治サッカー戦を見ようと腰を落ち着けた。 ソファーにどっかと腰を落ち着け天気予報を見ている間に頭から胃袋に向かった血液か夕食にあわせて摂った赤ワインかが効いたのか一時間ほどブラウン管の前で居眠ってしまった。 最近観た映画でも始めの2,30分を見過ごしたまま最後まで観たものがあるし、またか、けど、まあいいかと既に始まっているライブを眺めた。

一ヵ月半前のラジオ国会中継は湯船の中で半時間ほど聴いたのだが今回は二、三時間ぐらいなものだろうと高をくくっていた。 

人道主義に対しては誰も異存が無いし、入国に際して特に世界の問題地域から流入する移民の申請にはこれを出来るだけ保護するという事はどの国にも建前としてある。 その際にさまざまな理由から当人が入国許可を得るためには過去を偽って書類を作成することもあるだろうが、法治国の建前ではそれは許されないし、殊に現在、この国の法治民主主義、を守るべき国会議員当人がオランダ国民になる過程で身分を偽りそのことを公然とメディアの前で発言し、もう何年もこの事実をこの本人の擁護者とでも言うべき現財務大臣であり副首相をはじめ何人も承知していたという事実が一方にありながら、同じ保守党の出入国移民担当大臣がこのメディアで改めて公になった事実を看過できないとの通常法的処置として本人は現パスポートの本人ではないとしてもとの国籍申請中の地位に戻したのだった。 

それが驚いたことに当人の出身国ソマリア権威民俗学者の証言により「偽証」とされていた苗字があながち偽証とはいえなく本人が「偽証」と言っていたにもかかわらず「偽証とはいえない」という妙なことで年齢詐称はうやむやのままで本人がそのままパスポートを使用できるということにして決着させたところで野党がこの大臣の責任を問い、質疑を行いその挙句に大臣の不信任動議をだし連合与党の数で動議を否決するまで延々約9時間、朝の6時半までテレビの前に釘付けになったというわけだ。 もちろん、その間に休憩が合計1時間半以上にも及び、夜中に冷蔵庫からピックルス、ハム各種、それにトルコパンの軽食ビールで摂る時間もあり、たまたま夜中のBBC局でCGを上手に使った海洋オデッセーとでもいうべき鯨を中心にした海底映像を見せていたので居眠りすることも無く国会中継に繋ぐことが出来た。

議長もこの不信任動議の否決ということで一応の決着をみて、8時間後の内閣のこの質疑に対する整理、夏休み前にすべき審議をすますべき事務手続き等の国会召集を通知したのだが、さすがにこの人も徹夜の疲れが出て混乱するのか何度も本日というところを明日と間違えては訂正するのだった。

政治決着はつけても基本的な疑問は残したまま政治日程は進み、このままいくと来年の選挙では今のオランダ労働党が第一党に、社会党緑の党連合すれば政府与党となり組閣できるとの見通しが立っているのだが、たとえそうなってもこの前議員国籍問題は現状のままで最初に採った出入国移民担当大臣の「正しい」処置には戻らないと思われる。 

とはいえ1ヵ月半でこのように変わるのだから1年先のことは分からない。 休憩の間の政治コメンテーターに混じって政治移民法、政党専門家たちのあいだで移民法の専門家コメントが軽視されて主に政治駆け引きのほうにはなしが行きがちだったのがこの政治劇の性格を現しているようだ。 なんども国会審議のなかで「茶番」「恥」という言葉が飛び交ったが果たしてこの夜中にこの中継を観戦していた暇人はどれほどいるのだろうか、まして、日本人になると5人もいないのではないか。 オランダ語がわかる日本人ジャーナリストはほとんどいない現状、せいぜい英語に訳された有力紙の要約を読むぐらいだろうし、8月に通常業務に加えて静養のためにオランダを訪れる皇太子妃の対応に忙しい大使館員たちには夜中にこのような悠長なことに費やす時間はなさそうだ。

私にしても昼夜逆転の生活を送っていて暇なのだからできること、中継の政治コメンテーターが言うように、近年稀なこのような「珍しい」政治劇がみられて退屈はしない。

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