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玩具箱から空を見上げて

2009年10月29日 22:20

- キンモクセイの花飾りをしてた。

きれいな・・・女のヒト。

 優しくて どこか悲しそうな
儚い せつない・・・笑みを浮かべて

 私の傍にずっといてくれた。
けれども、貴女と知り合えて間もなく 永遠のお別れ。

 夏の終わりに泣きじゃくったあの人の時と同じ・・・

 それが 酷く 辛い。

冷え切った空気 夜の帳 鋭く光る白い月

 風は身を裂くほど痛くて

 燃えるような秋。
舞い散る葉はいつだってこれから来る最期の季節を
生命いのち)の終わりと告げんばかりに紅く 緋く・・・

血の様で 焔のようで・・・

 哀しくて 苦い。

 「さよなら」・・・と、離れていった
決して届かない手の温もりと優しさが失った今、
面影という残像で脳裏にちらつく。

 痛くて 哀しくて ただそこに在る現実だけが
身を裂くように・・・この胸の内を深く 深く貫いた。

 かくして 私は激痛と共に現実に還る。

その夢の名残をこの身の内に宿したままで・・・-



 目の下が赤くなるほど泣きじゃくった服の袖は
雨に打たれた後の様に酷く濡れて、
身体の熱をこれでもかといわんばかりに奪っていく。

 それでも暗い部屋の中、ただ何も出来ず、
やる事もなく小さくなって消えてしまった人を想う。

- 死ねば また 逢えるだろうか?

 そう、思って。

そればかりを考える。

けれども、結果として生きている今、
生きている以上命尽きる日まで生きなければならない。

 選択の余地は無く、
離れていった掴むことすらないその指先がしつこくそれを示しているようで
結局 生きるしかないのだと、失った結果を諦める。

 それが どんなに辛くても 悲しくても・・・
私に課せられた「想い」で「在り方」なのだと。

こんなのを何かでは「宿命」とでも言い換えるのだろうか?


まるで「死期」を感じ取ったかのようなこの季節がどうしても嫌い。

 風に舞い 散り堕ちた亡骸は次の息吹を育む。


地べたに張り付く無惨な姿はヒトでなくとも、
腐敗していく死体に似てて何だか哀れで・・・

それでも散り急ぐ椛(はな)達はそれを知って尚、
僅かな生の一瞬をその身に受けとめ、

刹那の時を遊ぶよう見えて

 それは 自分の死を間近にしながら
抗うこと無く 覚悟した誰かの影に重なる。


 冬の外気はその鋭さ故に刃物を思わせる。

眠りについた草木と、
澄んだ空に光る月は死神刃物めいていて、

いつか自分も 周りも、
その刃でこの身の内を攫われていく儚い者だと。
戒められているようで・・・

それらを見送る 悲しい役がまわって来ないように。と
祈らずにはいられない。

 - それでも神サマなんていない。
信じてだってやらない。

 それは何だか余りにも無慈悲で酷い仕打ちだと思うから。

 「万物の創造主」とされるクセに、
作ったモノに責任も何も持たずただ、鑑賞用に手掛けて捨てられていくような存在としてこの地に出来た。

そんな風にしか思わせないから。

 違うのなら、いずこの神話みたく降りたって
それこそ罪深いこの身も目も全て燃やし尽くしてしまえばいいんだ。

 創造主というのであれば、
出来損ないの失敗作も自ら早々に処分すればいいのに。

 どうやら神様は綺麗好きでも掃除は嫌いらしい。

子供のように身勝手かつ我が儘で、あまり尊ぶべきモノに思えない。

 私達は娯楽の一環なのだろう。

そう感じてならない。

 非情で無力で、嘆くしか出来ないから世界を二分した。

・・・神話聖書も読み解けばそんなに有り難みは無い売れない小説と同じではないだろうか?

 更に、神泣かせな救いようの無い出来損ないは、
月日と共にその罪の一つとされる知恵を使って科学なんて魔法を手にしたモンだから

この地が楽園で同時に地獄

 そして永遠に進展と堕落を同じ早さで繰り返す。
だって終焉は常に始まりと一緒にあるもの。

 私なら駄作を永久保存する気は無い。
ましてやソレは動き 自ら何かを奪い 狂い 壊れ 朽ちる。

 腐ったモノを身近に置けば真新しいモノも美しく出来た作品も、揃いも揃って一目で汚れ、

ゴミばかりになっていくのだから。

 美しさも完璧さも求めるのならば
鋭利刃物が如く、何かを切り捨てるか
儚い硝子が如く 脆く脆弱な素材を用いるか。

そのどちらかでしかない。

刹那の煌めき」か「傷負う危うさ」

永遠にそれは煌びやかなままではなく、
いつか醜く朽ちるからこそ一際強く輝くのだから。

時の経過の中に永遠を切り離して得る美しさ。
それはいつだって決して何一つ残さない。

 色褪せるより先に風に散り舞う桜が如く。

 熱を知るより先に消ゆる雪花の如く。


ひらり ひらり
この手は何も得られずに

悲しく 儚く 美しい 心だけ記憶に遺して

この胸の内を傷つけて

 飽くこと無く、やむこと無く
託された想いはひたすらに、この身の内を蝕み記憶を犯し 心を刺し続ける。

 私の想いなどおかまいなしで。

忌み 病み 痛み
傷は癒えることを知らぬまま化膿し続け
時ばかりが過ぎる。

流す涙も、今や意味を持たない雫


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sentfrom W-ZERO3

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