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なにもこんな、とっておきかもしれない日に、なんでもないボクにそんなことを云うなんて・・・

2009年09月21日 12:04

なにもこんな、とっておきかもしれない日に、なんでもないボクにそんなことを云うなんて・・・

「お祝いしてくれるんですよ、ともだちが、今日」
「ほほう、いよいよ、彼ができましたか」
「ともだちですってば」

・・・という、友達がボクで

その、話の相手は、Tさんという
ひともよく、仕事もできる ちょっとふとりぎみの
男性 であることを、ボクも知っていて

その彼に、誕生日を祝って欲しかったのか

「誘ってくださいよ、って云ったら、どーちゃらこーちゃら
お茶を濁された」

とか、なんとか。
不服げに口をとがらしてみたりするのが
キミで

そのキミをお祝いしているボクの前で
なんで、そんなこと、云いたいんだろう?

なんだか、Déjà-vu を見せられているような・・・
7ヶ月前、バレンタインの日も、同じことがあった気がする

誘って欲しい、と思っている男性に
誰かを紹介してもらう、約束をした、とかだったっけ
よく覚えていないけど
頭の悪いボクは、キミと別れてから
なんだか妙に、腹がたってきて
なにもそんなこと、今、ボクの前で
云わなくたって、いいぢゃないか、なんて。

夏の終りの頃合、
落ち合った街でした
ふたりきりのお祝いからきっぱりと10日、

キミの誕生日には
二度目のバースデープレゼント・・・
多すぎでしょう、それ。

美味しくはなかったけど、ちゃんとご飯を食べて、
高野文子の単行本を、二冊
活字が嫌い、であろう、キミのその生理に阿ることもいやで
そこら辺りが、精一杯、というところ。
なにより、高野文子普及運動、のためだったかもしれないけれど・・・

でも、なにもそんな時
ほかの男に、誘って欲しい、って云った話を
しなくたって、いいぢゃんか、とは思ったけれど
腹はあまり、たたなかったのは
バレンタインの日よりは
キミに近付いていたからで


それから4日経って

「昨日はTさんに、ごちそうしてもらったよ、誕生日のお祝いって」

なんて、尋ねもしないのに、
また、ご飯を食べている最中に
話し始めて

だからさ。
いい、ってそんなの、
キミが彼と会う時は、
すごくわかりやすいんだから、
昨日だって、すぐにわかったよ・・・

どうしてわかるか、なんて、なんで説明しなくちゃわからないんだろう?
なんて思いながら、一番わかりやすいポイントは外して、
キミがTさんと会う日の共通項と、
あの日とあの日、なんて、具体的に日にちを揚げると
キミは、全然、覚えていない、なんて、云うけど

キミはボクと会う時と違って
ずいぶん、遅くまで、眠気も見せず、
彼とタフにつきあっている、って
つくづく、思う

よほどボクといるのが、つまらないのか
いくらなんでも、欠伸をああ、繰り返されては
神経細やかな、Tさんのこと、
そろそろ帰りましょうか、ぐらいの提案はするだろうから

すると、気楽だから眠くなる、
Tさんの前では、「まだ」敬語だし
気をつかうんだ、なんて
言い訳になっているのやら、いないのやら、
よくは、わからないけれど

ふうん。
ボクは料理の来ないテーブルに
頬杖をつきながら、
いずれその、敬語がとれたあかつきには
より親しくなる予定なわけね、
なんて、キミをまじまじと見つめながら
思うわけで

聞かずもがな、ではあったけれど、
ファミレスにつとめていたこともあるといTさんが
彼女にご馳走した、というのは、
やっぱりファミレスのご飯だったらしいけれど、
それをボクにいうってのも、
ちょっと反則な気がしたんだけど・・・
ま、どうでもいい。

お茶の水
あまり美味しくもないレストランを出て
地下鉄に乗って
いつもの街へ赴いて
いつものバーの前に
酔わずに話さなくては、と思い
喫茶店を探したけれど、
見つからず、
いつものバーで
ice珈琲と、
HOT烏龍茶

バーテンが、近付いて

珍しいですね、今日は呑まないんですか?

ええ、ちょっと酔う前に
話さなくてはならないことが、あって

ぎこちなく、
45度の角度で
○テーブルに座ったボクたちは
精一杯の、話をした

ちゃんと話す、とメールにあったから
ボクはキミの言葉を待ったけれど

やはりキミは、思っていることや考えていることを
言葉にする事が、あまり好きではなくて
沈黙はちょっと、痛々しくも在り

どこか、尻切れトンボのように
フェーズアルコールをオーダーする方向へと移行すると
せきをきったように
言葉が溢れ出る

禁欲に耐え忍んだ身体は
アルコールを欲していて
CASH ON DELIVERYの店に移ると
お互いの舌はより滑らかになり、

自分がどれほど、気をつかって
ひとに気をつかわないでいるか、なんて
友達にメールの返事を返さない、という
自慢話なんだか、なんだか、よくわからない話から始まって

キミは楽しげに、同僚のKくんの話を始めて
そういえば、キミを誘うという彼の話を
以前にも聞いたことがあったのを
少しだけ思い出して

彼から誘われていたことを忘れていたわけではなくて、
自分から、呑もう、と切り出すと
あぁ、覚えてくれていたんだ、と驚かれた、とか

Kくんの、じめじめとした、ねとねとした
ディフェンシブな物言いを思い出して
いったいあの男と、どんな会話を交わすのか、
考えただけでも、ちょっと気持ちわるいのに、
キミはそんなボクの顔色を、うかがうわけもなく

くわえて。
せめて、高野文子のページぐらい
めくってくれてもよさそうなものだけれど、
あまりにも、彼女モチベーション
かけ離れていたんだろう

「読んでないよ、まだ」

と、にべもなく。

あきれることも
さびしさも
かなしさも
なにもなく

ボクは何の言葉も
用意しないで
ただ、キミの
ひいでたおでこ
見つめている

そんな言葉なら、
なにも云わないで
黙っていてくれるほうが
ボクはよほど、幸せなわけで

騒々しい店の、騒々しい客と店主が
最前から、気になっていたんだろう、
ボクたちの関係を、ただしはじめて

おたくたちはあれでしょう ご夫婦?」

失礼な野郎だ、ったく
大きなお世話だ、どいつもこいつも
いつだって、どこだって
と、思いながら、急いで席をたって
鉄路沿いの道を
駅を目指して歩きながら

そろそろ、電車なくなるね

なんて、全然、終電は先だけれど、
お姉さんが明日、成田に着くことを知っているボクは
やっぱりまだ一緒にいたい、というと

キミはボクに、歩様をあわせながら
あれや、これや、
いきつもどりつする
こころのゆれ、そのままに
ためらった挙句

今日は、帰るよ

伏目がちに
自分に言い聞かせるように
うなづきながら、そう口にする

いつものように、改札の向こうへと
スキップする子供のような
揚々とした後姿で
ふりかえることもなく
消えて行くキミを見送って

ボクはもうひとつ、別の改札を目指し
歩き始める

ボクは未だ
キミを抱きしめてもいない、と思っているのに
私は誰からも自由だから、
誰しもが同じ距離にいて
だから特別なひとは誰もいない
ことさらそんなことを言い立てたいのかな、
なんて思いながら、

キミのその、なんでもないボクは
なんでもないことを納得していながら、
既に胃の腑が、せりあがってくるような
或いは
全身の血を喪っていくような
そんな苦い思いの予感に
怯えているのは、
なぜなんだろう?

明日、また
キミと
逢うというのに

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