- 名前
- ヴォーゲル
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- 年齢
- 73歳
- 住所
- 海外
- 自己紹介
- もう海外在住29年、定年もそろそろ始まり、人生のソフト・ランディング、心に浮かぶこと...
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突然起こされて駆りだされた
2009年01月26日 11:39
このところメールボックスを開けていなかったので先週に入っていた今年の古式銃射撃競技会50mの日程表を見ていなくて、それを見ていたらこうなるはずのないことが起こった。 私の所属する地元のクラブでは本来来るはずの者が出てこないというので日曜の昼を廻って家に電話が入った。
前日、といっても同日になるのだが、朝の6時ごろまで何やかやしていて、当然今の鬱陶しい時期にその時間、明るいわけはなく午後1時まで寝ると7時間は眠れると寝ざましをかけて眠っていたのだった。
日曜の午後には月曜にはしなければならない仕事の準備がゆっくりできるとの段取りも立てていたのだ。 そして、その目覚ましが鳴る10分ほど前に、どうして競技会に出てこないのか、人出が足りなくて困っている、と大会の役員から今電話があったのだと家人が私を起こしながらいうのだが、何だか狐につままれたような気もどこかでしていた。 はて、一ヶ月ほど前に頼まれていた役は土日と二日続けて射撃クラブで大会があるときに出てくれと頼まれていたものの土曜は難しいから日曜は勿論手伝うからと土曜の分の返事はお茶を濁したままだった。 昨日の土曜は午後一杯娘のホッケーチームの遠征試合の運転手として刈り出されてもいた。 そして、私の日程表では日曜は何もなかったはずだ今日、車は息子と家人が使うことになっているから長銃と重い鞄を運ぶ手段がない。
直ぐ服を着て顔も洗わず自分の銃の準備もしていなかったから自分が競技に参加するのは諦めて監視員の仕事をしようと考えて、クラブに入るときに必要なマグネットキーと警察の射撃用パスポートだけをポケットに入れて自転車を漕いだ。 日頃は車で10分もかからないのだけれど大抵は夜だから自転車では行かない。 幸いなことに風もなく緩やかな陽の光さえあって2.5kmは快適ながら1時半開始の射場監視員として間に合うかと息を切らせて会場に駆け込んだ。
入り口で登録や様々な競技のための事務をテキパキとこなす巨体の女性役員二人に目配せして射場に入るとき交代に出てきたシニア監視員が中は寒いからオーバーをつけたままのほうがいいぞ、と言うのでそのままオーバーの上に道路工事現場の監視員がつけるようなオレンジいろの薄い化繊の人目につくものを羽織った。 バーや待合室には既に競技を終えたものや待っているもの50人ほどが喋ったり喰ったり飲んだりしていた。
一時半の競技はもう始まっていて先ほどのシニアメンバーが仕切っているからバーに戻りコーヒーを手にカリカリに表面をトースターで焼いたサンドイッチを作ってもらいそれを頬張りながらとりあえず少しは温まり、物を腹に入れてから10並んだブースのうち8人がそれぞれいろいろな銃を轟音とかなりな煙とともに撃つのを監視する役を引き継いだ。
始まる前には選手各自がこまごまとブースに店を広げて準備する間に名前、登録番号、銃の種類と競技種目がエントリーのリストと一致するか確認。 予定時間が来る前にそれを済まし、安全第一の規則どおり銃の扱い、耳、目の保護ができているか確認し、30分で13発発射すること、的に前に撃ったところに重なって着弾したとするとその報告、銃口の掃除のあと弾丸を入れないで慣らし発射する場合の報告などを促して競技に入る。 選手の後ろで25分間、椅子に座ったり時には歩いたりしながら監視し、時間内に撃ち終えて退場する選手を確認し、終了5分前になるとその旨をまだ残っている選手に伝えることが主な役割だ。 全て時間が終わると「撃ち方止め」と号令をかけ、クルクルとオレンジ色の警戒灯がまわるランプをつけて50m離れた的に向かって紙の的をボードから外しそれをリストとともに判定委員のところに持って行き、次の競技グループのリストを受け取って新しい的をボードに着装して既に待機している次のグループを招き入れる、というのがプロセスだ。 ここでは武器、弾薬を扱うことから安全第一がモットーとなる。
これを2時から4時半までやった。 シニアメンバーが言ったとおり寒い。 外気は昨日と同じく5℃。 昨日は外で娘達の応援だったが今日は室内の射場であるのだけれど環境基準で黒色火薬の煙が10人一緒にそれぞれ射撃を始めると排気をしていないと的が見えなくなる。 そこで大型の換気扇が動き出し外気が入れられる。 長銃を発砲すると筒先2mあたりからもうもうとした煙が出来てその煙を10-20m先の天井にそれぞれしつらえてある吸気口に向けて選手の後方にある空気取り入れ口から外気が押し出され煙を向こうに追いやる仕組みだから選手より後ろにいて壁に作ってあるいくつもの空気取り入れ口から外気の5℃ が流れ込む。 風となって背筋を流れるから皮膚感は5℃よりも低いものとなるのだろう。 マフラーでしっかり首筋を巻いて時々は暖をとるために選手の後方を行ったり来たりする。 射場の一年では今が一番厳しい時期で、射手なら10分ぐらい居てあとは暖かいバーやラウンジで馬鹿話をしていればいいのだけれど役ではしかたがない。
試合の間に動き回るときには出来るだけ早足で歩き暖を取り、得点を数える役員室ではコーヒーを飲み息をついたのだが射場に入るカウンターに居る巨体の女性二人のうち一人は昨年夏にオーストラリア、アデレードで世界大会があったときにオランダ選手団団長として出かけ、そのときのTシャツを羽織っており、その大会で金と銀のメダルをとったケースの夫婦は昨日きて撃ってたよと言った。 そして、なんで私が今日の事を忘れたのかとまた、電話の事を蒸し返すのだが、私は手帳を見せて、昨日のこと、今日はブランクになっていることを示し、昨日の土曜日にはどうして電話をよこさなかったのか詰問すると、土日は4月の18,19だよという。 それで納得がいった。 ページを繰ってみるとちゃんと載っていて土曜に?マークが付いていたのだが、ここでこの日には来ることを約束してまた監視員の仕事に戻り競技会を済ませた。
選手たちのうしろから集めた的を集計のために役員室に持って行き、同僚の二人と射場の床の30mぐらい先まで飛んだ、火薬と弾の間に詰める布切れなどのゴミを集めるのにT字型の箒で掃くために何回も射場を往復しているとその運動で少しは暖かくなったがそのほかの設備を整え射場の電気を全て消してそこから出てくるときにはまた寒くなっていた。
役員達とバーに座って今日は自転車で来ているのだから少々のアルコールも飲めるしそれで温まろうと大きなグラスにスコッチを頼みポケットに入っていたビターチョコレートを肴に2杯ほど空けたらビールやワインを飲んでいた連中がアル中が陽の高いうちからあんなもの飲んでるぞ、と囃すから、お前らも2時間以上もあんなとこにいたらもっと飲まずにはいられないわ、と反撃しても、隣の巨体の女がTシャツの胸を揺らせながら、遅れたバツとしてはよかったわね、と笑うだけだった。 なんだかまだ納得がいかない。
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