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Zoete aardappel (サツマイモ) を喰う

2009年01月24日 13:30

Zoete aardappel (サツマイモ) を喰う

この間スーパーで手持ち無沙汰に眺めていたらサツマイモオランダ語でZoeteaardappel、甘い芋、 もともとじゃが芋がaardappel(大地の林檎という意味で、フランス語でも同じ意味の Pomme de terre)だから甘いじゃが芋という意味になるのだがそこは芋のこときっちりとは区別しなかったのだろう。}があり、それじゃもうそろそろ50年ぶりにそれを鋳物で厚手のフライパンでそこに油も何も引かずに焼いてみるというか、むしろ炒るというほうがいいのかもしれないけれど、それをやってみようという気になって長さ20cmほどのものを2個秤に掛けたら2ユーロ35セントだと出た。 約280円というところか。 意外に高いものだ。それだけ出すとじゃが芋なら5kgぐらいは買えるのだからこの甘薯というかサツマイモはここでは特別なものなのだろうか。

たぶんそうだろう。オランダ人にとってサツマイモ(zoetaardappel)はエキゾチックなものだ。 旧植民地であったインドネシア南米スリナムあたりで食されているものでもともと寒冷の地、北ヨーロッパでは取れないのだから、南のほうからの輸入品なのかひょっとしたら温室栽培、ということもあるのかもしれないがいずれにしてもエキゾチックなものだ。 我が家では家人が時々この甘芋を北アフリカ料理タジンに混ぜることもあるし蒸したじゃが芋に混ぜることもあるけれど自分ではまだ料理に使ったことはないもののその味は自分が日本で経験していたサツマイモに比べると甘味はかなり薄いような気がする。

子供の頃は充分すぎるくらいサツマイモを喰った。 1950年代の中ごろまではガスもなく農家の台所には直径50cmぐらいの穴が3つ並んだ竈があり割り木で煮炊きをしており、そこに平たい鉄鍋をおいて畑から抜いてきたサツマイモを洗って輪切りにし皮も剥かずメダルのようにしてそのまま鉄鍋に置きそれを箸で時々裏返しては狐色になるまで炒った。 それがお八つになったのだがどうも甘すぎて多くは食べられずその炒られて少し硬くなった面と暖かいメダル状のものを口に入れて噛んだときに中がほっこり柔らかくその表面の硬さと中身の柔らかさの対照に加えて甘くかつほのかに炒られたイモの香りが記憶に残っている。

その香りは同じく冬場には籾殻で庭にある風呂場の釜を沸かすときに熾きとしてゆったりした熱のある籾柄の中に丸のままもぐらせた焼きイモの焼けたにおいでもある。 子供達が村のハズレにある稲刈りの終わった田んぼ焚き火をしてその遊びの中でそれぞれのうちから持ってきたサツマイモを焼いて食べたことも記憶にあるのだが私にはその甘い味はとりたてて特別旨いという物ではなかった。 てんぷらの一つとしても食卓に上がることはあったもののそこでも一番先に箸が行くというものでもなく、私はむしろジャガイモ天麩羅の方を好んだようだ。 

北海道と同じような気候でヨーロッパの少し北に位置するオランダは隣国ドイツと同じようにじゃが芋が主食だと思われていてそれはそれで正しいのだがサツマイモと同じくじゃが芋はもともと南米原産で15,6世紀にヨーロッパに渡来している。 だから元々ヨーロッパのものではないもののその頃の寒冷地の貧しい食生活で飢えをしのぐ食料として広がり主食となったものだ。 この薯の渡来の経緯は日本でも同じようなものでいずれも南方経由なのだし、とりわけじゃが芋に関しては17世紀にオランダ船でヨーロッパからジャワ経由で渡来したものだ。 それぞれ歴史の上ではどちらかというと麦や米の渡来に比べてまだこれらの芋の歴史は新しいともいえるかもしれない。

それはともかく、このサツマイモだ。 輪切りにして驚いた。 薄いレモン色というか薄い黄色がかった白、というのがもう半世紀も前に食べなれていた我が家の畑からとれたサツマイモの色だったはずなのがここではオレンジ色でまるで赤いグレープフルーツ色ではないか。 熱したフライパンに並べて、それに平行して鋳物の大鍋でゆっくり煮ていたカレーの下ごしらえの合間にそのオレンジ色のメダルを何回か裏返しているうちに焦げ目も出来て中も柔らかくなったようだ。

火を弱くしてあまり焦げ目をつけないようにしたのだが中まで柔らかくなるように重いガラスの蓋をしてその内部の熱で蒸らせてもみた。 

味は予想していた以上に淡い甘味で少々気が抜けた。 甘すぎるのは好まないくせに甘味が薄すぎると文句を言っている。 勝手なもんだ。 これならカボチャのほうがよっぽど甘い。 一年に何回かかぼちゃのシーズンには家人はかぼちゃスープを作り家族一同が満足するのだがサツマイモスープは何だか味気なさそうでそういうレシピーは果たしてあるのだろうか。 あったとしてもこれより甘い種類のサツマイモが必要だろう。 いずれにしてもほんの気まぐれもこれで気が済んだ。

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