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Richard Avedon のポスター

2009年01月20日 10:30

Richard Avedon のポスター

真夜中、市庁舎の前をうちに向かって自転車を走らせていたらバスの停留所のかべを中から蛍光灯で照らしだし、浮かび上がった写真が鮮やかな広告となり、同時に明かりにもなる仕組みの、その白黒写真に眼が行った。

古びたジーンズオーバーオールを着たそばかすだらけの娘の正面写真で、40年代から50年代にかけてスタインベックの「怒りの葡萄」にでてくるような貧しい白人農家の写真を撮ったアメリカ写真家ウォーカーエバンスを思い出したのだが、けれどそれとは少し印象が違う。 なぜか分らぬけれどそれよりは少し時代が新しいようにも感じ、そのまま通り越して50mほど行くと今度はディオールモデルよろしく二頭の象の前でポーズする女が立っていてその向こうにはよく引き合いに出されるボブ・ディランの両手をジーンズの前ポケットに肩をすくめてこちらに歩いてくる姿も無人の通りの闇の中に浮かび上がっている。

もちろんここまでにこのシリーズの宣伝が アムステルダム写真美術館、 Foam で開かれる Richard Avedon の回顧展、 1946-2004 のポスターだと承知している。

もう30年以上前に大学の写真部に在籍していたときに写真史の中の一人としてアベドンをスタジオポートレートを良くする人でヴォーグ写真家だったと承知しているぐらいでそのポートレートに惹かれたもののユージン・スミスをはじめマグナム作家たちやダイアン・アーバスフランスアンリカルティエブレッソン、日本では森山、東松、奈良原、北井、木村などをよく写真集写真雑誌で観た。

けれど大学卒業以後は多くがそうなるように写真からは遠ざかりカメラも手にすることもなくせいぜいファミリーフォトグラファーでしかなく、またま知り合った写真家の回顧展があればいくぐらいなものでこの何年かはメモ帳がわりの小型デジタルカメラを携行しているぐらいだ。

ディランやポーズするモデルだけだったならそのまま通り過ぎるのだがこの娘の正面写真に惹かれる。 クレジットには1980年8月23日、コロラド州ロッキーフォードにて、サンドラベネット(12歳)とある。 なかなか味のある12歳の娘でヴォーグ写真とは傾向が違う。 といってもこの何十年も雑誌、ヴォーグのページをめくったことはないのだがここでは少なくともファッションとしての価値は少ないとみてもいいだろう。 有名人を多く撮ってそのポートレートから人物をあぶりだすアべドンは知られているものの私は自分の嗜好からはこちらの市井の人々のポートレートにより親和力を感じる。 しかし、よく眺めると正面ポートレートに対するアベドンの態度は変わらないような気がする。 そのフレーム有名人がはいるとその「有名人性」がにわかに我々の感じ方にバイアスをかけるのだろうか。 

後付として知ったことにはアベドンはこのような市井の人々を撮るいくつものプロジェクトを持っていたようなのだからこのような作品がが出てきても不思議ではないし、1980年製作とあるからこれは今までわたしの目には入っていなかったこともあり新鮮に感じたし、連続して夜中に写真を三点観たあとで自転車を停めてまたここへ再度見に戻らせる力をもっているほどの写真なのだ。 展覧会は2月の13日から5月の13日まで開催とある。 オリジナルプリントは美しいものだがガラスに隔てられれば反射ではっきり見えなくて味が落ちる。 さて、いこうかどうか、どうしようか。

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